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“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?
【第5回】 2014年12月5日
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松久信幸

トムヤムスープに味噌!
海外のシェフたちが味噌の可能性を広げてくれる
NOBUとともに味噌を世界に広める、ひかり味噌社長・林善博氏インタビュー

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和食を世界中に広めることに貢献したレストラン、NOBU。オーナーシェフの「ノブ」こと松久信幸氏は、それまで誰も考えつかなかった料理のレシピを生み出すばかりでなく、味噌のまったく新しい使い方も考案した。ひかり味噌社長・林善博氏に「ドライミソ」誕生秘話と、世界でブームになっている味噌の可能性をうかがった。(インタビュー・構成 ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

予想外の宿題「味噌を乾燥させて使いたい」

――NOBUそして松久信幸さんご本人との出会いは?

 私は学生の頃から海外に出たい気持ちがとても強く、他の勉強はできませんでしたが英語だけは一生懸命やっていました。大学を卒業して就職する時も海外事業を担当させてもらえるところを探し、信州精器でアメリカへのプリンターの輸出に関わっていました。実家へ戻り、ひかり味噌に入社する際も、「海外は自分にやらせてくれ」と海外営業担当になり、アメリカ、カナダを開拓していきました。

 そして、2005年、日本の味噌業界としては初めてアメリカに常駐の営業マンをおいたのです。当時すでに、「日本の食品をアメリカへ」と言えば、ノブさんの名前が必ず登場しましたから、私も「うちの味噌をノブさんの店で使ってもらえたら最高だな」という思いがありました。そこで、ノブさんの店に出入りしている問屋さんに紹介していただいて、現地の営業担当者とともにロサンゼルスのマツヒサにうかがいました。

 ところが、「ひかり味噌を味噌汁に使っていただきたい」という売り込みだったはずなのですが、ノブさんからまったく予想外の宿題が出てしまいまして……。

――書籍『お客さんの笑顔が、僕のすべて!』の第五章に登場する「ドライミソ」のエピソードですね?

 当時、ノブさんはバットにうすくのばした味噌を天日に干して乾燥させ、ジューサーで砕いて乾燥味噌をつくっていました。「これがとても大変なんだ。味噌屋さんだったらできるでしょう?」と言われたんです。直感でフリーズドライの製法を使えそうだと思いましたが、ノブさんは粉末味噌ではなく、クリスピー、つまり、カリカリとした粒にしてほしいというのです。

 「これは難しいぞ」と思いましたが、「ここでノーと言ってしまったら半永久的にチャンスはないだろう、儲かる儲からないは関係なく宿題に応えよう」と腹を決めました。それから実際に使っていただける「ドライミソ」ができるまで1年近くかかりました。少々専門的な話になりますが、味噌汁や卵スープのように液体になっているものをフリーズドライにするのは、技術的に難しくないのです。ところが味噌そのものをフリーズドライにするのは水分が飛びにくく非常に難しい、さらに粉末ではなく粒にするには非常に繊細な工程管理が必要で、苦労しました。

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松久信幸(まつひさ・のぶゆき) 

「NOBU」と「Matsuhisa」レストランのオーナーシェフ。1949年、埼玉県で材木商の三男として生まれ、 7 歳の時に父を交通事故で亡くす。14 歳の時に兄にはじめて連れていってもらった寿司屋でその雰囲気とエネルギーに魅了され、寿司職人になると心に決める。東京の寿司屋での修業後、海外に出てペルー、アルゼンチン、アメリカでの経験を基に、和をベースに南米や欧米のエッセンスを取り入れた NOBUスタイルの料理を確立した。 1987年、アメリカ・ロサンゼルスにMatsuhisaを開店。ハリウッドの著名人たちを魅了し大人気となる。1994年、俳優ロバート・デ・ニーロの誘いに応えNOBU New Yorkを開店。さらに、グローバルに展開し次々と店を成功に導く。2013年4月、ラスベガスにNOBU Hotelをオープン。2014年現在、5大陸に30数店舗を構え、和食を世界の人々に味わってもらおうと各国を飛び回っている。 主な著書に、『Nobu the Cookbook』『nobu miami THE PARTY COOKBOOK』(以上、講談社インターナショナル)、『nobu』(柴田書店)、『NOBUのすし』(世界文化社)などがある。


“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?

約40年前、包丁1本で海を渡った料理人が、今や世界五大陸に三十数店のレストランとホテルを展開、レストランだけで年間のべ200万人以上が来店、2013年クリスマスのグーグル検索数がレストラン部門のトップという世界でもっとも有名なオーナーシェフになった。“世界のノブ”と言われる松久信幸は、日本人としての感性を貫きながら、いかにしてグローバルに成功を収めたのか? 対談やインタビューで浮き彫りにしていく。 

「“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?」

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