平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子どもの割合を示す「子どもの貧困率」。2012年には過去最悪の16.3%だった。貧困家庭の子どもたち向けに学習塾を開くボランティア活動は全国で行われているが、授業のクオリティは決して高くない。そうした問題を解消すべく、eラーニング教材を活用した取り組みが広がりつつある。

止まらない貧困の連鎖
底辺の成績の子をどう底上げするか

今や6人に1人の子どもが貧困世帯に暮らす日本。十分な教育の 機会が与えられなければ、貧困は確実に連鎖する

 生活保護を受けている人の4分の1は、自身も子どもの頃、生活保護世帯で育ったというデータがあるのをご存じだろうか?子どもの頃にそれなりに勉強をして、社会の第一線で働くビジネスマンからすれば「努力が足りない」と言いたくなるかもしれないが、貧困家庭の環境は、想像以上に厳しいものだ。

 一人親世帯も多いから、夕食を独りぼっちで食べたり、コンビニ弁当ばかりという子どもは決して少なくないうえに、生活苦から親も心身を病んでいるケースも多い。そんな環境に加えて、塾に通うお金も捻出できず、次第に学校の勉強についていけなくなって不登校に陥る、という悪循環から抜け出せない子どもが大勢いる。親を始めとする大人の十分な見守りと、勉強に集中できる環境の両方が、極めて不十分なのだ。

 かくして貧困は確実に世襲と化している。俗にいう「貧困の連鎖」だ。なんとか学校に通えるように、ボランティアたちが集まって貧困家庭の子どもたち向けの学習塾を作る試みは全国でなされているが、ネックは授業の質なのだという。

 ボランティアを十分な人数集めるだけでもひと苦労だ。平均的にできる子なら週に1回の授業でなんとかなるかもしれないが、アルファベットのbとdの違いも理解していないといったレベルでつまづいているような子なら、そんな頻度では到底学校に追いつけない。また、中学3年生、高校3年生といった進学期の子にも、集中的なサポートが必要だろう。

 こうした課題を解決すべく、eラーニング教材「すらら」を導入したのが、仙台市と協同で貧困家庭の子どもへの学習サポートを行っているNPO・アスイクだ。