前評判通り、自民党と公明党合わせて3分の2にあたる317議席を超えて、衆院選が幕を閉じた。消費税率引き上げ延期や、大幅な追加金融緩和など、経済政策=脱デフレ重視を鮮明に打ち出し始めたアベノミクスに国民の信任が与えられた格好の今回の選挙結果、市場はどんな思いで受け止めているのだろうか?(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
10月から2割上げた日経平均
自民大勝はすでに織り込み済みか
「アベノミクス解散」――。安倍晋三首相がこう銘打った解散総選挙は前評判通り、自民党プラス公明党の連立与党圧勝の結果となった。経済成長を前面に押し出す安倍首相を、多くの市場関係者が好感していることは言うまでもないが、自民大勝で株式市場が大きくハネるかといえば、そうでもない。というのも、大方の予想通りなので、すでに株価は織り込み済みなのだ。
10月末の、日銀による「ハロウィーン緩和」を受けて以降、日経平均株価は急騰した。11月17日に7~9月のGDP速報値が予想以上に悪かったことを受けて急落したものの、持ち直して12月8日には年初来最高値の1万8030円をマークした。その後、欧州市場の下落を受けて再び下落したものの、10月17日の終値1万4532円と比べると、2割近い上昇を遂げている。
大幅な金融緩和、そして消費増税延期――。つまり、これまでデフレ脱却と財政再建という“二兎”を追っていたアベノミクスは、ここにきてデフレ脱却を優先させるという明確な意思表示をした。それが市場に支持された格好だ。
すでに株式は大きく買われてきたため、選挙後はむしろ、利益を確定させたい投資家の売りが出て、しばらく調整に入る可能性もあるが、アベノミクスが国民から“信任”されたことで、一時的な調整があったとしても市場は堅調に推移するだろう。