4月の消費税率の引き上げ後、軒並み苦戦を続ける小売業界にあって、ドン・キホーテは既存店すら前年を上回り、一人気を吐いている。そこでドンキホーテホールディングスの安田隆夫会長に、消費増税先送りの賛否について話を聞くと、意外な答が返ってきた。「消費税はむしろ5%に戻すべきだった」、さらに「法人税率を引き下げて給料へ回すべき」と言うのだ。その真意やいかに……。
(取材・構成/ダイヤモンド・オンライン編集長 原英次郎、片田江康男)
増税延期は喜ばしい
本来なら減税すべき
――4月の増税の際は、どのような影響がでましたか。
4月の増税は、もう確定事項でずいぶん前から分かっていたことでしたので、いろいろと準備をしていました。結果的に、増税後の反動減をこなし、既存店売上は5月には100%を超え、今期に入って7月からはそれが定着しています。準備が功を奏したということでしょう。
今回、延期になりましたが、私が感じている消費の現場の感覚からすると、増税延期は非常に喜ばしいことです。やはり、消費税が上がるということ自体が、われわれのような小売業にとってポジティブなことではありません。
変化に対応するという意味では、私たちは変化があるほうが動きやすいということもあって、増税という変化が抗し難い運命ならば、ポジティブに捉えて、変化対応し、チャンスにしようということになります。
ですが、抗し難い運命ではないというのであれば、話は違ってきます。そりゃあ8%のままがいい。もっと言えばね、本来なら5%に戻す、減税するということでもよかったくらいです。