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真の狙いはゼネコン廃業支援?
国交省が設ける「経営相談窓口」

週刊ダイヤモンド編集部
2008年9月12日
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 全国で建設業者の経営破綻が相次ぐなか、国土交通省は「建設業緊急経営相談事業(仮称)」の新設を決めた。経営の専門家を企業に派遣し、経営相談に当たるというものだ。2009年度予算の概算要求に組み込み、予算成立後、早ければ来年5月から事業を開始する予定である。

 これまでも各地の建設業協会などを通じて、企業に税理士や中小企業診断士などを派遣し、中長期的な経営改善のアドバイスを行なう「ワンストップサービス」という枠組みはあった。だが、「昨今の状況はより緊急性が求められている」(国交省関係者)として、弁護士や公認会計士など、より高度な知識を備えた専門家を、チームとして派遣することになった。

 旧来の支援制度をより拡充したかのように見える今回の経営相談事業だが、真の狙いは別にあるという見方が浮上している。「産業振興を掲げる国交省としては表立っては打ち出せないだろうが、じつは建設業の“転廃業支援”を行なうことにある」とある関係者は明かすのだ。

 「業界の再編が必要という旗は政府としてすでに掲げている」と小澤敬市・国土交通省建設流通政策審議官は言うが、供給過剰状態はいっこうに解消されていない。

 たとえば07年度の建設投資額は、ピーク時(1992年度)から42%減の48.7兆円に落ち込んだものの、建設業許可業者数は、同50万8000社とピーク時(99年度)の15%減にとどまっている。

 建設業では、会社がつぶれても、社員が独立して起業するケースが多く、業者数が高止まりしている。金融支援を受けて復活する“ゾンビ企業”も珍しくない。

 加えて、これらの企業が安値で入札に参加し、競争がさらに激化した結果、「地域で元請けのリーダーとなるべき名門企業を中心に窮乏している」(国交省幹部)という状況も生まれている。

 「下請けや発注者に迷惑がかかるとずるずると営業を続け、傷を深くする企業も多い。健全な倒産を支援する体制がむしろ必要」と建設業の倒産に詳しい松嶋英機弁護士は言う。その意味では、今回の国交省の取り組みは、“退出”に向けた体制整備と言えなくもない。

 ただ、経営に窮した建設業者にとっては、「経営相談を頼んだはずが、いつの間にか廃業を迫られていた」といった事態が待っている可能性があることも頭に入れておかねばならないだろう。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 鈴木洋子)

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