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原油価格の下落は日本にとって福音ばかりではない?
「逆オイルショック」で回り出す負のループの正体

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第356回】 2014年12月16日
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“逆オイルショック”到来でどうなる?
なぜ原油価格は急落してしまったか

 最近、“逆オイルショック”という言葉がよく使われている。今から約半年前の6月、代表的な原油価格であるWTI(米国ニューヨークで扱われる原油の指標銘柄)は、1バレル当たり107ドル台だった。

 ところが足もとの12月10日現在、同価格は60ドル台まで急落した。約6ヵ月間の下落率は57%を超えた。

 従来原油価格は、中東での紛争などをきっかけに急上昇することが多く、それによって世界経済に痛手が及ぶことが多かった。今回の原油価格の下落が今までの反対、つまり“逆オイルショック”と呼ばれる所以なのだ。

 原油価格の下落は、輸入国にとっては基本的に大きなプラス要因となる一方、原油を輸出している国にとっては大きなマイナス要因になる。円安傾向が続いているにもかかわらず、ガソリン価格が下落気味になっていることなど、わが国経済にとって重要な福音をもたらしていることなどがその例だ。

 しかし、原油価格が短期間にこれだけ下落すると、国際金融市場でのお金の流れ(マネーフロー)などに大きな影響を与える。ベネズエラやロシアなど主要産油国の経済状況が悪化したり、エネルギー関連株の動きが不安定になるなどの悪影響も、顕在化している。

 中長期的な原油価格の動向については、専門家の間でも様々な見方があるようだが、当面すぐに原油価格が急上昇することは考え難い。その背景と影響、さらには今後の展開を考える。

 原油価格下落の主な理由については、ロシアに対する制裁強化説など様々なものがある。ロシアに対する制裁強化説とは、ウクライナ問題の制裁を強化するために、米国やサウジアラビアなど一部の産油国が結束して、原油価格を意図的に下げているとの見方だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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