総選挙での反発の弾力、全くなし
民主党はなぜ失敗し続けるのか?

 今回の総選挙で、与党勢力の増減と同じくらい注目に値したのは、民主党のリバウンド具合だった。選挙戦序盤では、現有の62議席を30~40伸ばして、上手く行くと100議席の大台に乗るのではないかという予測もあった。前回次点の落選議員が次の選挙で頑張る「次点バネ」への期待もあったし、実質賃金が減り続けていた庶民の生活実感が与党に対する批判につながる可能性もあった。

 しかし庶民有権者は、「民主党だったら、経済がもっと悪いのではないか」「そもそも消費増税を決めたのは民主党政権ではなかったか」と正しく気づいて、民主党に厳しい審判を下したように思われる。空気が抜けた軟球のように、民主党には反発力がなかった。その象徴が、東京一区で立候補し比例代表に重複立候補までした海江田万里代表の落選だ。

 ただし、海江田氏ご本人にはお気の毒と言うしかないが、海江田氏が落選によって代表を退き、民主党の顔と言うべき代表及び執行部が変わる流れが早く決まったことは、民主党全体の今後の党勢にとって悪いことばかりではない。

 海江田氏が当選し、選挙前よりも議員数を増やしたことを理由に、代表に留任する流れになったケースの民主党に漂う重苦しい沈滞感を想像すると、今回は同党にとって、これで良かったのだと思う。

 ところで、2009年総選挙で大勝して政権交代を成し遂げた民主党が、かくもボロボロになってしまった経緯には、企業などの組織にとっても個人にとっても、教訓とすべき失敗が山のようにある。これだけ網羅的でわかりやすい反面教師は、そういるものではない。

 2009年の政権奪取以来の民主党の大小の失敗を、振り返ってみたい。