衆院総選挙は事前の予想通り、自民党が291議席を獲得して圧勝。公明党は35議席と公示前議席を上回った。これによって自民党はまたも単独過半数(238議席)を大きく超え、公明党と合わせた与党議席は326議席と衆議院の3分の2を確保することになった。

順風も逆風も吹かない
それこそが自民党大勝の要因

 この総選挙についての私の所感は次の通りである。

(1)この総選挙は稀にみる無風選挙であった。どの政党に対しても特別強い順風も逆風も吹かなかったように思う。あえて言えば依然として民主党に対する逆風は続いている印象だ。

 どの野党に対しても強い順風が吹かなかったことが、自民党大勝の最大の原因と言ってもよい。

 民主党は、かつて支持した多くの人が「民主党にだけは入れない」と固く決意していることを知らない。反省も処分もせず、自ら民主党政権時代を評価しているようでは消えて無くならざるを得ない。

自民党の選挙圧勝でも
安倍政権は信認を受けていると言えるか?

(2)安倍晋三首相はこの選挙結果により、アベノミクスはもとより消費税再増税、集団的自衛権、原発再稼働、特定秘密保護法など全ての懸案事項について信認を受けたと錯覚するだろう。

 案の定、首相は翌15日の記者会見で「集団的自衛権の一部容認を含む閣議決定にもとづく法整備を行うことを訴え、支持いただいた」と語り、従来の軌道をまっしぐらに走ることを強調した。

(3)しかし首相のこの認識は間違っている。なぜなら、選挙結果の数字の上からは圧勝であっても、実質的には首相の政権運営が確かな信認を受けたとはとても言えないからだ。

 投票率は52.66%、戦後の最低記録を大きく更新し歴史的低投票率を記録した。

 注目すべきは、いつもなら大都市圏より高い地方の投票率が大きく下落したこと。大雪の影響があった地域を除いて考えても異常に低い投票率であった。これは地方の多くの自民党支持者が安倍政治に失望して棄権にまわったとも考えられる。