集中したいときは
カフェに行く?
新しい働き方が模索されるなか、「どこで仕事をするのか」が1つの課題となっている。
モバイルデバイスの普及と高速ネットワークの浸透、クラウドコンピューティングの発展が後押しし、「いつでも、どこでも」仕事をする環境が整ってきた。実際、スマホを使って従来では到底不可能だった業務データの取得や分析、リアルタイムのコミュニケーションが可能になっている。
しかし、「ナレッジワーカー」の仕事として、「考える」ことが必要な仕事の場合、実は働ける場所は限られている。
たとえば街中のカフェで、考える仕事ができるだろうか。簡単なメールの返事などはもちろん可能だし、ノートPCを持ち出して「集中したいときはカフェに行く」というオフィスワーカーの声も聞く。だが、カフェは資料を広げて見比べたりする作業には適さないし、もとより社外秘の書類を公共の場で見るわけにもいかない。
一方、都市部を中心に「コワーキングスペース」「シェアオフィス」のようなレンタルスペースも利用が広がっている。フリーランスの事務所代わりとしての使い勝手はいいが、まだ数が少ないので会社勤めの人が気軽に利用できるほどは普及していない。また、仮にこうしたサービスを利用したとしても、まったく会社に出勤しないということはあり得ない。
やはり自分が勤めている「オフィス」での集中力を高める工夫は大事なのだ。
だが、オフィス内で集中力を上げて作業しようとしても、それを妨害する問題がある。「音」だ。
音を遮断することで
集中力が維持できる
コールセンター向けヘッドセットで高いシェアを持つ、「Jabra(ジャブラ)」ブランドで有名なデンマークの音響機器メーカーGNネットコムは、オフィス内でワーカーの集中力を低下させる要因として、音の問題が大きいと考えている。
同社がオフィスのナレッジワーカーを対象とした調査では、周囲の音が生産性に悪影響だと答えた人は69%に上った。また別の調査では、いったん何らかの理由で集中が途切れると、もとの状態に復帰するまで最低でも23分はかかるという結果が出ている。
GNネットコムジャパンのマーケティングマネージャーを務める八島史典氏は、「日本企業の場合、『うるさくて仕事ができない、などという人は集中力が足りない証拠』という風潮があります。しかし、常に最高レベルの集中力を維持しているのは難しく、むしろいったん中断した集中力が回復するには、多くの時間がかかるということを問題にすべきでしょう」と語る。
そのため同社では、オフィスワーカーの集中力維持には「外部の音を遮断する」と「集中して作業している人の邪魔をしない」の両面で、音への配慮が必要だと考えている。