貿易赤字が拡大し、
所得収支黒字が増大する
「国際収支の推移」(2014年11月速報)が15年1月13日に公表された。それによると、11月の経常収支は9145億円の黒字となった。13年11月から14年3月まで、13年12月を除くと赤字だったのだが、4月以降は黒字になり、10月には9000億円を超えていた。その傾向が11月も続いているわけだ。
経常収支の黒字が復活した原因は、図表1に見るように、貿易赤字が減少したことと、所得収支黒字が増加したことだ。
仮に12月の経常収支が11月と同じだとすると、14年の経常黒字は2兆6884億円になる。
過去を振り返ると、日本の経常収支は、11年までは、年間10兆円を越す黒字であった。なかでも、04年から07年までと10年は、20兆円近い黒字であった。12年以降それが急減した。その後も黒字額は減っている。
14年の黒字も13年よりは減るが、黒字自体は維持されているわけだ(なお、原油価格の下落により、14年の黒字は2兆6884億円より増加する可能性もある)。「貿易サービス収支は赤字だが、所得収支の黒字がそれを補い、経常収支は黒字になる」という構造は、現在に至るまで維持されていることになる。
経常収支が黒字であれば、対外純資産は増え続け、所得収支の黒字は増大し続ける。したがって、この構造は今後も継続するだろう。
なお、14年の所得収支黒字(推計値)は、13年に比べて11.5%増、12年に比べて30.0%増となっている。このほとんどは、対外資産の収益の円換算値が円安によって増加した効果と考えられる。