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魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

なぜ高知ではカツオ並みに「うつぼ」が愛されるのか

人口激減の救世主“海のギャング”の魅力

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第7回】 2015年1月19日
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うつぼ。これが美味しいなんて想像もつかないけれど…

 高知県を代表する魚といえばカツオ。しかし、カツオ以外にも高知県民が愛してやまない魚がいる。

 うつぼ。

 「え?」という人も多いかと思う。わたしにとっても、うつぼといえば「怖そうな顔をした、ヘビみたいなグロテスクな生きもの」というイメージが強い。よもや食べるものとは思っていなかった。実際、日本でうつぼを食べる地域は限られている。なおかつ、ごく一般的に食べる習慣があるのは高知県と和歌山県くらいだという。

 とある高知県人に尋ねてみた。

――うつぼ、食べますか?

 「もちろんです。あんなに美味しいものはありません」

 おそるおそる、聞いてみた。

――浜で、うつぼを見たら「美味しそう」なんてまさか、思いませんよね?

 「思わなくもないです」

 !!

 高知県民の全員が全員、海岸のうつぼに垂涎の眼差しを向けるわけではなかろうが、なんと、高知では県内で漁獲される量に対して、2、3倍もの量を消費しているらしい。「うつぼが好きすぎて」、うつぼが不足気味なため、愛媛や徳島、宮崎など他県で水揚げされたうつぼは、「うつぼLOVER」の待つ高知にやってくる。

 日本中のうつぼを食べ尽くしかねない、なんとも「うつボンバー」な県だったのである。

 そんな「局地的すぎる」グルメで町おこしの活動がスタートした町がある。高知県中央部に位置し太平洋に面した須崎市。県内でも、古くからうつぼを食してきた歴史があるという。貴重な食文化を全国の人々に発信ようと、2013年に須崎商工会議所青年部と須崎青年会議所の有志で結成されたのが「須崎うつぼ学会」だ。

――みなさん、本当に、うつぼは普通に食べていらっしゃるんでしょうか?

 集まった会員のみなさんが、一斉にうなずく。

 「もちろんです」「そりゃあ、もう大好きです」「子どものころから食べてます」「秋の神祭にはないといかんやろ」「老若男女みんな、よく食べます」

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

和食が世界遺産に認定され、改めて見直される「魚食文化」。日本各地にはさまざまなおいしい魚が水揚げされ、地元ならではの「魚料理」があります。この連載では日本各地の各種魚の産地を訪ね、「とっておきの漁師料理/ご家庭の魚料理/ご当地魚グルメ」を紹介。あわせて漁の様子、市場の風景など、おいしい「浜のめし」を支える人々の活躍をお届けします。

「魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子」

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