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魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

青森県八戸の“ありがたみのない魚”を
「ブランドさば」に昇格させた名産品の仕掛け人

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第4回】 2014年12月8日
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八戸前沖さばのプレミアムサバ「銀鯖」の刺身(1420円)。麗しい脂のノリにただ、ただ、感涙

 日本有数の水揚げを誇る青森県・八戸港でも、その多くを占める魚・サバ。獲れすぎるばかりに地元では「まったくありがたみのない魚」として扱われてきたが、今や「八戸前沖さば」としてブランド化され、「ありがたい魚」となった。

 いったい、なぜ八戸のサバは、ありがたい魚に昇格したのか。そのきっかけになったのが「平成22年東北新幹線全線開通」。それまで八戸が終点だった東北新幹線が、ついに新青森まで到達することが決定し、当然、地元に危機感が走った。

 「お客さんが八戸を通り過ぎて青森に行っちゃう!」

 そこで、八戸がスルーされないための起爆剤として選ばれたのがサバだった。

前回ご紹介したように、「さばグルメ市」や「さばアイデア料理コンテスト」など数々の展開を行い、話題をさらっていった八戸前沖さば。しかし意外なことに、難関だったのが実は「地元の料理店」への普及だったという。その壁を突破するために、1人の仕掛け人が動いた。

「“下魚”をメニュー化なんてありえない」
ホテル、割烹の声に55歳料理人が挑戦

 観光誘致も目的としているからには、市内で八戸前沖さばを使った料理を味わえるお店が必要だ。

 しかしそこに壁が立ちはだかる。「ホテルやレストラン、割烹などにお願いしたのですが、なかなか受け入れてもらえない時期がありました」と八戸前沖さばブランド推進協議会会長の武輪俊彦さんは当時を振り返る。地元の料理人にとっては、「サバのような『下魚』をメニュー化」するのは「とんでもないこと」。「大衆食堂で食べるようなものを提供するなんてありえない」と抵抗が大きかったのだ。

沢上弘さん。八戸前沖さばのためにサバ帽子をかぶって奔走する情熱と行動の方!

 そんななか立ち上がったのが、協議会員であり、寿司・郷土料理店「俵屋」オーナーの沢上弘さん。協議会の前身である「はちのへ観光誘客推進委員会」で、サバの勉強会に関わってきた沢上さんは、八戸のサバの可能性を見出していた。

 「秋に八戸に揚がるサバは実に美味しい。飲食という立場から、全国にもっと八戸前沖さばを発信していこうと決心しました」

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

和食が世界遺産に認定され、改めて見直される「魚食文化」。日本各地にはさまざまなおいしい魚が水揚げされ、地元ならではの「魚料理」があります。この連載では日本各地の各種魚の産地を訪ね、「とっておきの漁師料理/ご家庭の魚料理/ご当地魚グルメ」を紹介。あわせて漁の様子、市場の風景など、おいしい「浜のめし」を支える人々の活躍をお届けします。

「魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子」

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