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【検証・安倍政権の安全保障政策(2)】
米国頼みでない多国間での安全保障協力が必要

――渡部恒雄・東京財団上席研究員インタビュー(下)

ダイヤモンド・オンライン編集部
2015年1月26日
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※(上)から続く

安倍政権の安全保障政策を考えるインタビューの最終回。安全保障の専門家である渡部恒雄氏の後編をお送りする。集団的自衛権の行使によって、アメリカを巻き込むこむことで抑止力を上げるとともに、アメリカ一国に頼ってきたものを、日豪韓やASEANで一緒に、多国間で安全を保障する仕組みをつくっていかなくてはならないと説く。

「集団的自衛権を行使しない」
というのも解釈改憲

わたなべ・つねお
1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師となるが社会科学への情熱を捨て切れず米国留学、米ニュースクール大学政治学修士課程修了。CSIC戦略国際問題研究所、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『今のアメリカが分かる本』、『論集 日本の安全保障と防衛政策』(共著)、『二〇二五年 米中逆転』など。

──集団的自衛権の行使に対する、1つの大きな批判は、憲法の解釈を変えるいわゆる解釈改憲というやり方でそれを認めていいのか、ということです。これについてはどう思われますか。

 そもそも集団的自衛権を行使しないというのも、解釈改憲で決められたことです。憲法9条にそんなことは書いていない。1970年代の国会の議論の中で、内閣法制局が、集団的自衛権を行使しないという解釈を打ち出した。

 つまり、今の集団的自衛権を行使しないというのも解釈ですから、それを変えるのも解釈でいい。憲法を変えるのは手続き的に大変だということもありますが、9条を全部変えて周辺国にさらに大きな懸念を持たれるよりは、はるかに賢いやり方です。

──とはいえ、従来の政府の見解では、集団的自衛権を行使しないというのが9条下でのぎりぎりのラインだとしていたわけですから、それを一歩踏み出すことになるのではないでしょうか。

 どの国でも自衛権は認められていて、その自衛権の中には集団的自衛権と個別的自衛権があると、国際法上、特に国連憲章に明確に定められている。逆に言えば、それを勝手に日本独自の解釈で使えない、として良かったのでしょうか。

 つまり、そんなものは最後のラインでも何でもないんです。勝手に、そのときの日本国内の政治状況に合わせてできたものです。

 大事なのは、軍隊が暴走しないようにすること、そして日本が侵略されないようにする、あるいは周辺地域で戦争が起こったりしないようにすることです。法律の問題と政治の問題だけで判断してはいけない、現実の国際関係において、日本がどういう安全保障政策の措置を取るべきかで判断すべきである、ということです。

 簡単に言えば、今までそれを、国会でやらずに、机上の空論でいろいろとごまかしてきた結果として、安全保障上の法律と現実が、乖離してしまった。ですからここは、やはり少しでも現実と法律を近づける努力をしていく必要があります。

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