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シリーズ・日本のアジェンダ「集団的自衛権行使」容認の是非

「パワーシフト」のなかで激変する日本の安全保障
集団的自衛権は平和と安定のための一つのツール
――小野田治・米ハーバード大学シニアフェロー(元航空自衛隊空将)×加藤嘉一・国際コラムニスト対談【前編】

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第7回】 2014年7月1日
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集団的自衛権について議論が進められてきたが、国民にとっては聞き慣れない言葉からか、議論が国民全体を巻き込んだものにはなっていない。巷では「日本が他国の戦争に巻き込まれることになる」「世界で起こる紛争に若い自衛官が赴くことになり、日本の若者の血が流れることになる」といった声も聞こえる。私たちは集団的自衛権をどのように捉え、行使容認の是非についてどう考えればいいのだろうか。元航空自衛隊空将で、現在は米ハーバード大学アジアセンターシニアフェローの小野田治氏と、国際コラムニストの加藤嘉一氏に、現在の議論をどう見ているか、話を伺った。(構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

おのだ・おさむ
1954年神奈川県生まれ。防衛大学航空工学科(第21期)卒。77年10月第一警戒群(笠取山、三重県)に勤務。79年3月第35警戒群(経ケ岬:京都府)保守整備部門の小隊長。82年12月警戒航空隊(青森県三沢基地)警戒航空隊の部隊建設に従事。保守整備部門の小隊長。89年8月航空幕僚副長副官(東京都市ヶ谷基地)。96年8月防衛研究所第44期一般課程(東京都目黒基地)。99年3月航空幕僚監部防衛課装備体系企画調整官(東京都桧町基地)。00年8月第3補給処資材計画部長(埼玉県入間基地)。01年8月航空幕僚監部防衛課長(東京都市ヶ谷基地)。02年12月第3補給処長(埼玉県入間基地)。04年8月第7航空団司令兼百里基地司令(茨城県)。06年8月航空幕僚監部人事教育部長(東京都市ヶ谷基地)。08年8月西部航空方面隊司令官(福岡県春日基地)。10年12月航空教育集団司令官(静岡県浜松基地)。12年7月勧奨退職。

本質は「北東アジア全体の
安全保障をどうしていくのか」

――集団的自衛権の行使容認の是非が議論されてきましたが、結局、憲法改正などを経ず、解釈変更という形で行使容認へと進みそうです。これまでの議論をどう見ていますか。

小野田 率直に言って、国会での論戦等を見ていると議論が上滑りしていたように思います。本来的には日米関係や中国との関係、北東アジア全体の安全保障をどうしていくかという、具体的でより突っ込んだ議論が尽くされるべきだと思います。

 実際には政府はそういう議論をなされていると聞いていますが、国会ではなかなかそういう根本的な議論はなされないですよね。だから議論が深まっていないような印象があるんだと思います。私も現役時代、表ではなかなか公表できないような突っ込んだ議論を職場でやっていました。

 ただ、集団的自衛権の議論は国民にとってこういう議論が深まっていないような印象を残したまま進んでいいのかなということはあると思います。

――先日行われた朝日新聞による世論調査では、安倍内閣の支持率が43%で発足以来最低になりました。同調査では集団的自衛権の議論について、「十分だ」と答えた人はわずか9%、「十分ではない」と答えた人は実に76%に上ったという結果が出ました。

小野田 こういう国の形を左右するようなトピックスが話し合われるとき、昔は社会党が一気に勢いを増して政権党を圧倒してしまうようなことが起きましたよね。安倍政権は、そういうことを警戒して、支持率が急激に下がらないように議論の進み方というか、議論の出し方を調整しているんではないでしょうか。

 国民にどういう説明をして、どのくらいの理解をしてもらうのか。北東アジアの安全保障全体の話や中国、アメリカとの関係など、そういう本質的な理解ではなくて、集団的自衛権っていうのはどういうものなのか、という一定の理解を得るように、政府はコントロールしているんでしょう。

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シリーズ・日本のアジェンダ「集団的自衛権行使」容認の是非

5月15日、「安保法制懇」の報告を受け、安倍首相が「集団的自衛権行使」の容認に向け、憲法解釈の変更を行うかどうかの本格的な検討に乗り出す。日本は「集団的自衛権を保有しているものの、行使できない、というのこれまでの政府の解釈だった。これによって、日本は自衛隊を海外に送り出し、武力行使することはできなかった。いかに限定的に運用すると言っても、行使を容認することは、我が国の安全保障政策の大転換となる。そこで、学者、政治家、安全保障の専門の方々に、集団的自衛権行使容認の是非について論じてもらう。日本をどのような方法で守るかは、実はわれわれの生活の大前提。この議論を参考に、一人ひとりが日本の安全について考えていただきたい。

「シリーズ・日本のアジェンダ「集団的自衛権行使」容認の是非」

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