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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

「金の卵」を呼び込む
孫正義社長の“必殺技”を教えます

――グレッグ・ムーン(ソフトバンク・ベンチャーズ・コリアCEO)インタビュー

週刊ダイヤモンド編集部
2015年1月26日
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ソフトバンクの韓国投資子会社、ソフトバンク・ベンチャーズ・コリア。アジアの有望ベンチャーを掘り起こすグレッグ・ムーンCEOが、孫社長と歩んできた15年間を語る。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)

──ムーンさんが経営する韓国の投資子会社は、「孫社長のM&A戦略」においてどの部分を担っているのですか?

Photo by Naoyoshi Goto

 ソフトバンク・ベンチャーズ・コリアは2000年2月、ベンチャー投資をする100%子会社として設立されました。それは何と、「ドットコムバブル」が弾ける1ヶ月前というタイミングでした(笑)。だから立ち上がりの数年間はトラブルに見舞われっぱなしでしたが、何とか立て直しましたよ。

 投資方法はハイブリッド型と呼ばれるもので、ソフトバンクの資金のみならず、大手企業などのパートナーの資金も受け入れて投資をしています。韓国の年金基金や、鉄鋼最大手のポスコなどもそうしたパートナーの一部です。

 資金の運用規模は約220億円です。社内には11人の投資のプロが在籍しており、現在は約61社に投資をしています。その投資先の80%が韓国企業で、米国やイスラエルの企業もあります。運用実績は過去8年間のIRR(内部収益率)では約15%ほどです。

──思い入れのある投資先について、エピソードを聞かせて下さい。

 例えば、約10年前に投資をしたオンラインゲームで世界1位の韓国NEXON(ネクソン)は、私たちの投資ポートフォリオの一つでした。創業者の金正宇(キム・ジョンジュ)さんは、外部からの出資を頑なに拒否していました。「私はお金を必要としていません」の一点張りでした。そこで一計を図ったのです。

 私たちはとあるモバイルゲームの企業に投資をして、成長するようサポートしました。そして2年後、もう一度ネクソンを訪問して、「こんな魅力的な会社は、早く買収したほうがいいんじゃないのか?」と提案をしたのです。彼らはその話に乗りました。最初は現金で買収すると主張していたのですが、それはできない相談です(笑)。そのモバイルゲームの会社と引き換えに、ようやくネクソンの株式を手にして、彼らにとって最初の投資家になれた訳です。

 また韓国や東南アジアでは大人気の「クッキーラン」というモバイルゲームを開発した、 同じく韓国Devsistersという企業も挙げましょう。「パズル&ドラゴンズ」がある日本でこそ1位ではありませんが、台湾やタイなどでは人気ナンバーワンのゲームです。この会社も、すでに上場を果たして大きなリターンをもたらしました。

 韓国では、若い世代がリスクを取って次々と新しい企業をつくっています。韓国内ではわずか5%しか検索シェアを持っていない米グーグルが、韓国内のベンチャー企業を対象とした支援プログラムを作っているのも、現地のハイテク市場の重要性を理解しているからです。私たちの投資先だったTNCというIT企業は、グーグルが08年にアジアで最初に買収した企業だったはずです。

──昨年10月、ソフトバンクは約107億円を出資してインドネシアのオンライン販売最大手トコペディアの筆頭株主になりました。この会社も、実はムーンさんが掘り起こしたとか?

インドネシアのオンラン販売最大手「トコペディア」

 ええ、そうです。僕がトコペディアCEOのウィリアムさんに会ったのはもう3年前のことです。当時、私はインドネシアの首都ジャカルタに行って、現地の企業20社の経営者らと面談をしたんです。その中で「これは間違いない」と思った会社がトコペディアでした。当時はあまりにも小さな会社でしたが、経営者に見込みがあると感じたのです。その1年後くらいから、累計2億円を出資していました。

 その後、何が起きたかはご存知の通りです。孫さんはアジア各国のイーコマース企業の潜在力をはっきり見抜いています。イーコマースのみならず各分野において、アジア各国に“友人”を見つけようとしています。だから出資先のトコペディアも、その中の一つだということです。

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