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安東泰志の真・金融立国論

成長戦略の大きな柱
「コーポレートガバナンス」を考える(1)

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第54回】 2015年2月2日
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 コーポレートガバナンスの強化は、安倍政権の成長戦略の大きな柱の1つになっている。近く制定が予定されている「コーポレートガバナンス・コード」は、その総仕上げの意味合いを持つものだ。本稿から2回にわたって、日本のコーポレートガバナンスの現状と今後の見通しについて考えてみたい。

「誰が」「どのように」
会社を経営するのか

 コーポレートガバナンス改革の経緯については、既に、連載第42回で昨年実施された会社法の改正に関連して取り上げた。さらに、会社法の改正と相前後して閣議決定された「日本再興戦略・改訂2014」において、「持続的な企業価値の向上のための自律的な対応を促す」ためのアクションプランとして、「コーポレートガバナンス・コード」の策定が盛り込まれ、東証と金融庁が共同事務局となってその原案を取りまとめている。

 しかし、こうしてにわかに脚光を浴びつつある「コーポレートガバナンス」とはそもそもどういう意味なのか、国民は正しく理解しているだろうか。

 筆者は、「会社がなぜ活動しているのか」という、資本主義経済の根幹に関わる問題から考えを進めるのがわかりやすいと考えている。それは、その会社が「誰のために」「何を目的に」活動しているのかということであり、コーポレートガバナンスとは、その目的のために「誰が」「どのように」会社を経営するのがいいのかを考えることだ。

 会社は「誰のために」「何を目的に」活動しているのだろうか。

 昨今、CSV(Creating Shared Value)といって、「会社は、その社会的使命を考えて経営し、利益に結び付ける」という経営理論が広く認知されつつあり、その場合、会社は、環境などの社会的ニーズ、地域社会の要請、社員、債権者など、株主以外の様々なステークホルダー(利害関係者)にも目配りをしなければならないとされている。

 実際、いわゆる「日本型経営」では、社員は、株主と同じくらい大事にされてきたし、日本的な「メインバンクシステム」の中では債権者である銀行が強い発言力を持ってきた。しかし、法律的に言えば、会社のオーナーは株主であり、その利益を損なうことは許されない。会社は、様々なステークホルダーに目配りしつつも、理論的には、「株主のために」「株主価値を守ることを目的に」経営されているのだ。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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