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第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

“自分流”にこだわり過ぎたツケ・・・。職場の「透明人間」と化したジコチュー社員の末路

――身勝手な“個人主義”で、組織から排除された原田氏のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第5回】 2009年1月5日
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 「自分の仕事のやり方に、口出しされたくない」――このような思いをもつ人は少なくないだろう。いま、「自律」という言葉もよく耳にする。これは、自ら考え、行動することを意味するが、これを間違って解釈すると、職場で排除されやすくなる。

 今回は、自分のからに閉じこもる社員が、しだいに上司や周囲を敵に回していき、部署の“もてあまし者”になっていった様子を紹介する。

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■今回の主人公
原田 理恵 仮名(29歳、女性)
勤務先:横浜に本社を構える、社員数200人ほどの専門商社。年間売上は50億円前後。今年創業50年を迎えるものの、社内は覇気がない。社員間の競争はさほどなく、若い社員の離職率は高い。会社の体制が曲がり角にきているといえる。その広報部でおきた問題である。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)

上司も手を焼く、
自己中心的な仕事ぶり

 「いま、どんな状況なの?」

 「心配は要りません。自分のペースでやっていますから、大丈夫です」

 原田が先輩の伊藤(39歳)に答える。その直後、メガネをとり、席を外す。そして、トイレのほうへ向かった。

 課長の高橋(54歳)は、老眼鏡ごしにその後ろ姿を見る。原田が廊下を曲がり、視界から見えなくなった。高橋は伊藤に小さく声をかけた。

 「原田さん担当分の進行状況は、いま、どうなっているの?」

 下を向いて作業をしていた伊藤が、少し顔を上げて答える。

 「わからないです。彼女は何も言ってくれないので・・・」

 「もう一度、うまく聞いてみてよ・・・」

 高橋は黙った。伊藤も急に下を向く。原田が戻ってきたからだ。

 課長の高橋と伊藤、そして原田は3人でチームを組んで仕事を進めている。自社のホームページの更新に向けて、リニューアル作業を行っているのだ。しかし高橋は、20歳近く年下の原田に直接話すことを避けている。時折ご機嫌をとることはあるが、指導は一切しない。

 職場でたったひとりの男性である芳川(36歳)は、原田が退社した後、高橋に尋ねた。

 「なぜ、あの女に甘いんですか?」

 高橋は周囲に誰もいないことを確認した後、話し始めた。

 「原田さんには、強く言いにくいのよ。彼女は、からに閉じ込もるタイプでしょう。私には、彼女のことが全然わからないの。どんな仕事をしているかも、何を考えているかも……。だから、伊藤さん経由で聞いてもらっているのよ」

 「原田さんは、ただの“ジコチュー”(自己中心的)ですよ。だけど、そういう人をきちんと指導していくのが、管理職の仕事じゃないんですか!?」

 「そうやってひと言多いから、あなたは女から嫌われるのよ」

 「僕は“ジコチュー女”から嫌われても、構いませんけど」

 「……」

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

会社から冷遇され、気がつくと「負け組」となってしまった人たちを毎回取材。彼らの実体験を振り返ることで、企業の冷酷さだけでなく、自己防衛できなかった敗因を分析。第2次リストラ時代で生き残る術を探る。

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