バルセロナ郊外の丘陵地帯。レストランに仮設された試乗拠点。第四世代のほか、初代、二代目、三代目も持ち込まれた Photo by Kenji Momota

25年間でじっくり培われたモノ
カラダ全体で予感した、原点回帰

 スペイン・バルセロナ市街、1月30日午前7時45分。通勤の流れに交じって、久しぶりに「NA」のステアリングを握った。「NA」とは、マツダ「MX-5 (ロードスター)」初代モデルの認定型式だ。

 1983年11月に開発プロジェクトを開始。発売は1989年からだ。今回試乗したのは1993年にマイナーチェンジを受けた1.8リッターモデル。オドメーターは9万kmを超えているが、丁寧なメインテナンスによりコンディションは上々だ。

 とはいえ、20年以上前のクルマ。エンジンからの振動が車内に介入してくるなど、最近のクルマとの違いを痛感した。

 と同時に「そうか、そうだったな。こうだったたな、昔は」と、思った。

 身体全体に、ライトウエイトスポーツカーの味がじんわりと染みてきた。シフトチェンジすることが楽しい。エンジンを上まで回すことが楽しい。コイツと一緒に走れることが楽しい。

「いまさらだが……、『人馬一体』とはよく言ったものだ」

 愛馬と朝の散歩をしている。そんな気分だ。

 ダッシュボードの後付けナビの指示に従い、目的地である丘陵地帯のレストランを目指す。そこで出迎えてくれたのは、「NB」(第二世代)、「NC」(第三世代)、そして「ND」(第四世代)のプロトタイプだった。

「ND」は2014年9月に日米欧で世界初公開。その後、欧日でファンイベントを開催。パリモーターショー、米SEMAショー、米LAモーターショー、さらに2015年1月には東京オートサロンでプロトタイプのお披露目が続いてきた。また、2014年12月には静岡県内のクローズドエリアで、一部メディア向けに極秘試乗会を実施している。

 そして試乗に関するエンバーゴ(公開解禁日)に合わせて、1月の最終週、ここバルセロナで米欧アジアのジャーナリスト合計40人による、世界初の公道試乗会が催されたのだ。