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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

アナコンダ部長の締め付けに窒息寸前!
34歳コンサルタントの悶絶(上)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第1回】 2015年2月3日
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悪質なタテマエに満ち溢れ
バランスが崩れた職場の病巣

 この社会は、ホンネとタテマエの不文律によって成り立っている――。

 本連載『黒い職場の事件簿』では、職場のホンネとタテマエの狭間で苦しむビジネスパーソンの姿を描くことで、「職場でどう生きるべきか」「会社とはどうあるべきか」を問い直し、読者諸氏が有意義な会社生活を送る上での教訓を示したい。

 日本社会は、古くから「ホンネとタテマエ」を使い分けることで成り立っている。政治や経済、さらに学校や家庭生活においても、この「ダブルスタンダード」を使いこなすことが求められる。

 ところが、ここ十数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えているように思う。

 たとえば以前から、「自分よりも優秀な部下を認めたくない」というホンネが上司たちにはあった。それは当然の感情と言えるかもしれない。かつての上司たちはそうしたホンネを押し殺し、「管理職の使命は部下を立派に育てること」というタテマエを忠実に守って、職務を全うした。今は、「部下を認めたくない」というホンネを抑え切れず、その気持ちを「部下の指導」というタテマエ論で巧妙に包み込み、ダメ出しを続けることなどを通じて、部下を潰してしまう上司も少なくない。

 一方、自分が面倒事に巻き込まれることを極度に恐れる社員が増えたため、議論がことごとくタテマエ論でスルーされ、職場の閉塞感の増幅に歯止めがかからなくなってしまうケースもある。うつになる社員が急増するのは、そんな職場だ。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。

 この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に紹介していきたい。取材対象者などの了解を得ることができない内容を部分的に加工する場合もあることを、予めお断りしておく。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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