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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

優秀な人材がことごとく不採用になるのはなぜだ?
組織を衰弱させる“ブラック人事マン”の邪悪な出世欲

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第11回】 2014年10月15日
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 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 先日、日本の大手金融会社の人事で10年以上仕事をしていた女性から、まさに「心のダークサイド」に関する話をうかがったので紹介したい。

 新入社員当時から優秀だった彼女は、本社の人事部に配属されてから数年で主任になった。彼女の会社は全国に支店を持つ大手だったため、新卒採用のプロセスは大規模なものとなる。

 全国に10以上の採用チームがつくられ、数千人の応募者の中から書類選考、筆記試験、一次面接を経て、本社面接に進ませる者が約800名、その後彼女らのチームが面接を行い、最終合格者として約100名を選出する。

 当然、本社の人事課長、部長、それぞれの代理など、選り抜きの人材が面接を行う。面接では、彼女も含めて数人の上司たちがそれぞれに面接結果を独自の採点シートに記入し、最終ミーティングを行って内定者を決めていく。

エリート人事マンと採用に臨んだ
若き女性主任の信じられない体験

 そこで、彼女は奇妙な体験をした。

 彼女より5歳ほど上の若手管理職のA氏は、社内でもすでに将来の幹部候補と言われるエリートだった。一流私立大学出身で、人当たりもよく、彼女も尊敬できる先輩だと思っていた。

 彼女は、A氏と同じ面接チームに配属された。A氏が筆頭で、彼女の他に3人、計5人で面接を行う。面接評価は、候補者の様々な側面について、1、2、4、5の4段階で評価する。3の評価はない。なぜなら、ほとんどの候補者は、ほぼ同様に優秀だが個性的ではなく、可も不可もつけにくい人物が多いためだ。意図的に4段階にして、できるだけ差異をつけようとする。そして、その評価表を持ち寄って、最終的には話し合いで合否を決定する。

 大手金融で数千人から絞り込まれただけあって、さすがに本社面接に残る学生は優秀な人が多かったという。いわゆる「お勉強」という点では、みな同様に優秀で横一線だ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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