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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

仕事はできるのに、頭を使うのは手柄の横取りばかり
優良企業を衰弱させる「知性派タダ乗り社員」の大罪

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第16回】 2015年1月7日
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超優良企業にもいる?
仕事ができるタダ乗り社員とは

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む心のダークサイドがいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 数年前、拙著『フリーライダー~あなたのとなりのただ乗り社員~』の取材のために、某企業の人事部長にお話をうかがったときのことだ。

 その企業は、日本人ならば知らない人はいないだろう、「超」のつく有名企業で、学生の就職希望ランキングでも常に上位に入っている。当然ながら、入ってくる社員は激戦を勝ち抜いた優秀な人材が多い。

 「そんな優良会社にも、タダ乗り社員はいるのか」という筆者の問いに、人事部長が皮肉な笑みを浮かべながらこう答えたのが印象的だった。

 「タダ乗り社員? いっぱいいるよ、ウチだって」

 話を聞くと、その会社でのタダ乗り社員は、仕事をサボる、手抜きをする、という類のものではなかった。皆優秀なので一応仕事はできるのだ。

 では、彼らはなぜフリーライダーになるのか。

 あるプロジェクトを担当することになったA氏は、入社4年目のB氏をメンバーに入れた。そのプロジェクトは、海外の複数の国からいくつかの材料を仕入れ、日本で加工することで付加価値のある商品を生み出すものだったため、語学に堪能かつ海外暮らしの経験もあるB氏ならば、適任だと判断したからだ。

 B氏も大きなプロジェクトの中心メンバーに加えてもらったため、最初は張り切っていた。このB氏、幼少の頃から両親の仕事の都合で、世界数ヵ国で暮らした経験があり、語学も英語をはじめ、4ヵ国語が話せる。さらに日本の一流大学を出ており、頭のよさも経験も十分だと思われた。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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