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早くも「野党っぽい」自民党マニフェストを点検する

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第91回】 2009年8月5日
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 10ヶ月ほど前、麻生太郎首相の自民党総裁就任時を振り返ると、彼に期待された役割は「選挙の顔」であった。しかし、次期総選挙に向けた自民党のマニフェストは麻生氏の顔を隠したかのように作られていて、「自民党の政策『みなさんとの約束』」の要約版の最後の署名の部分に、彼の顔写真が小さく載っているだけだ。過剰なくらい鳩山代表の写真が載っている民主党のマニフェストと対照的だ。

 民主党に数日遅れたが、7月31日に政権与党である自由民主党も総選挙に向けた政権公約を発表した。同党のホームページには「要約版」と「政策BANK」と題された二つのファイルに分かれて掲載されている。

 さて、自民党のマニフェストだが、民主党のものと比較すると文書としてずいぶん地味だ。政策の説明は言葉の羅列で、データも添えられておらず、写真もない。これで政策を説明したとしてもプレゼン映えしそうにない。専門家に外注したものか、党の職員が作ったものか分からないし、文書を作成した人はかなり苦労をしたに違いないので申し訳ないのだが、これで選挙に勝とうという気迫がまるで感じられない急ごしらえの文書だ。

 世論調査ベースの支持率が大きく民主党優勢で形成が離れすぎているから読み手の方でもそう思うのかも知れないが、負け戦を前提として、アリバイ作りをした程度の投げやりなものに見えてしまう。

 「変えるなら、ちゃんとした方向へ。」と見出しのある第1ページ目からして、政権与党が国民に方針を提示するというよりも、民主党に向けた言葉だ。「やみくもに全てを『変える』ことが、よいわけではない」という言い分も、民主党が掲げる「政権交代」に向けた批判のつもりなのだろう。しかし、アメリカでオバマ氏が「CHANGE」を掲げて勝った後でもあり、自民党はわざわざ勝ちにくい側のイメージに陣を構えたように見えてしまう。

 掲げる政策も、民主党の公約を意識して、これを批判ないし相殺しようとするようなものが多く、文書のあちこちから、早くも「野党っぽい」臭いが立ち上っている。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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