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携帯広告市場の救世主となるか
苦肉の策で始まる“視聴率”調査

【第37回】 2009年6月17日
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 普及数1億0800万台と、単なる通信機器の枠を超え新たなコミュニケーションツールとなった携帯電話。いつでもどこでもインターネットを見られるため、広告メディアとしての期待は高い。

 だが、携帯電話向けサイトについては、“視聴率”を明確に把握する指標がなく、それが広告市場拡大の足を引っ張ってきた。

 パソコンで利用するサイトの場合、調査会社が詳細な視聴率を発表している。調査に協力する大勢のモニターのパソコンに導入されたソフトにより、モニターの見たサイトは自動的に調査会社に報告され、調査会社はそれを分析する。

 ところが、同じことは携帯電話ではできない。電気通信事業法の「電気通信役務」に当たるため、第三者が勝手に端末をいじることは禁じられているうえ、憲法で保障されている通信の秘密にも抵触する恐れがあるからだ。

 携帯電話会社関係者は「個人情報を勝手に外部に送る仕組みには協力できない」と慎重姿勢だ。

 そこで、ネットレイティングスなどの調査会社は6月末までに、苦肉の策でサービスを開始する。

 携帯電話各社は、「アクセス履歴検索サービス」(NTTドコモ)などの名称で利用者自身が自分の携帯サイトの利用内容を調べるサービスを提供している。第三者が勝手に調べることはできないが、本人ならOK。そこで、モニターにこのサービスを利用して手に入れたデータを送ってもらい、集計と分析をし、全体の傾向を表す“視聴率”のような指標とするのだ。

 もっとも、パソコンに比べ、モニターの確保や、手間など実際の運営に困難が伴うことは明白だ。

 通信の秘密や情報漏洩という観点に立てば、パソコンのほうがはるかに多くの情報を含んでいるわけで、携帯電話ばかりを過剰に扱うのは、合理性がない。

 そこで、花王やサントリー、ミクシィなど50社以上が参加し、携帯電話利用の課題解決を図るモバイル文化研究会では、「利用者本人の了解を得た場合には、名前や電話番号などの個人情報を除けば視聴履歴を利用できないか、通信会社と共同で検討していきたい」(西岡郁夫代表)としている。

 一部に光明もある。総務省主導で、携帯電話会社から履歴データを集めて分析する「全数型モバイル視聴率」の実験が始まった。

 緻密な視聴率が普及すれば、携帯サイト広告市場の成長にも弾みがつきそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  清水量介)

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