「神様が味方をする習慣」とは? 享年62歳でお亡くなりになった小林正観さんが、40年間の研究で、いちばん伝えたかった「ベスト・メッセージ」とは? 「人間関係」・「仕事」・「お金」・「子ども」「病気」・「運」・「イライラ」・「男女」など、全ての悩みが解決するヒントがここにあります。

人間は、「どうしても許せない人」にさえ、
「感謝」することができる

 伊豆の伊東で合宿をしているとき、50代の女性から相談を受けました。「50年間、許せない人がいる」というのです。

 50代の方が「50年間許せない相手」は、親しかありません。この方は、「どうしても父親を許す気持ちになれない。この恨みや憎しみ、つらい気持ちを取り去る方法はないでしょうか」と悩んでいたのです。

 じつは、許さない人自身が、いちばんつらい。はじめの1、2年は「絶対に許さない」と腹を立てていても、それが10年、20年と続くと、許せない人自身が、ものすごくつらくなります

 この方は、「自分の心をキレイにしたい」と思い、さまざまな勉強会に参加し、あらゆる先生の話を聞いたそうですが、それでも許せるようにはならなかったそうです。そこで、私は聞いてみました。

「どうしても許すことができないのですね」
「許せません」
「では、好きになることなんて、できませんね」
「絶対に好きになれません」

「絶対に好きになれないのですね。では、最後にうかがいます。『感謝』することはできますか?」

 彼女は10秒くらい黙っていましたが、その後、涙を流して、それから1時間ほど、泣き続けました。ようやく落ち着き、最初に発したひと言は、

「感謝することはできます」

という答えでした。人間は、50年間許すことができない相手にさえ、「感謝することができる」のです。

 嫌いな人、許せない人、好きになれない人がいて、その感情を自分で抑えることができないのなら、許す必要はありません。好きにならなくてもいい。

 でも、「感謝することはできるか」を考えてみてください。許せない人でも、3年間、感謝し続けたら、許せるようになるかもしれません。6年間感謝し続けたら、好きになれるかもしれません。9年間、感謝し続けたら、尊敬できるかもしれません。

 私にも、かつて、許せない人がいたことがあります。頭の中から「許せない人」という引き出しを開けたら、そこに2人の名前が入っていました。

 私は心の勉強をしてきましたので、許そうと思えば、許すことができます(「許す」という表現は傲慢ですが、ここでは、一般的に「許す」という言葉を使います)。

 しかし「許したくないから、心のメカニズムを働かせたくない。そんなエネルギーを使いたくない。この人たちを許さないままでもいい」と思い、封印していたのです。

 ですが、「この2人を許せなくても、『感謝』はできるだろうか?」と考えてみると、「謝ったり、頭を下げたりするのは1cmでもしたくないけれど、感謝をして頭を地面につけることならできる」と思った。なぜなら、その2人のおかげで、人間的に成長できたからです。

 みなさんの中にも、「許せない人」「嫌いな人」がいると思います。その気持ちを抱えて生きるのは、しんどいことです。ならば、「感謝」という切り口からその人を見てみたらどうでしょうか。「感謝」できれば、憎しみの対象はいなくなるかもしれません。