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田中均の「世界を見る眼」

安保法制で諸外国に
“言いがかり”の口実を与えるな

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第41回】 2015年2月18日
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首相が施政方針で述べた「戦後以来の大改革」
安保政策も大きな岐路に

安保法制の議論は、日本の将来にとって極めて重要だ。写真は海上自衛隊のイージス艦
Photo:pocketalbum-Fotolia.com

 イスラム国による日本人人質殺害事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。なすすべなく二人の日本人が処刑されたことは、悲痛な思いで受け止められた。

 安倍首相は極めて鋭い言葉でこれを非難し、「罪を償わせる」とか、「日本人にはこれから先、指一本触れさせない」と述べた。これは国民の強いフラストレーションを代弁しているものなのだろうか。

 施政方針演説で安倍首相は「戦後以来の大改革」が議論されようとしていることを訴えたが、安保政策だけをとっても、いま日本は、かつてなかったほど大きな岐路に来ている。

 海外においても日本の動きに注目が集まっている。たとえば2月12日付のニューヨークタイムズのように、安倍首相は一時慎重な態度をとった憲法改正議論について、イスラム国による二人の日本人の殺害に対する国内の強い意識を踏まえて、米国に押し付けられた憲法を改正する姿勢を取り戻している、等といった趣旨の記事も散見される。

 これまでの安全保障体制に関して日本政府が行ってきた改革は、常識的な内容を超えていないと思う。国家安全保障会議の設置、国家安全保障局の設置、武器輸出三原則の見直し、特定秘密保護法の制定などは、冷戦が終了し安全保障環境にも極めて多くの要素が出てきた中で合理的な改革なのだろう。集団的自衛権の行使一部容認についても、常識的で合理的な結果になることが期待される。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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