三菱商事で学んだ4つのポイント

 新卒入社は1998年、総合商社の三菱商事でした。17年前も30年前も、そして現在でも、大人気の就職先。自動車本部に配属され、最初は南米への自動車輸出業務を担当しました。

 通常は入社後1~2年は基本書類と定常的なやり取りを担当すると相場が決まっていたのですが、入社後半年くらい経った頃、自ら進んでチームの取引国すべてについて基本書類の作成や確認手順をレポートにまとめました。

 その上で「これはマスターしたので新規事業の企画をやらせてほしい」と、企画案をチームリーダー(次長級)に提出・相談したところ、「分かった、やってみろ」とゴーサインをいただきました。

 先輩に指導していただき、南米に現地の財閥グループとのジョイントベンチャーを設立したのが社会人1年目後半のことです。その後1年以上の間、ほぼずっと現地に滞在し、三菱商事が他国で培った経験やノウハウの新会社への移植や組織作りなどに奔走しました。

 後になって聞くと、これはさすがの三菱商事でも多少異例だったようですが、育てる側となった今となっては、同社の非常に懐の深い育成のあり方に感嘆の念を憶えます。

 三菱商事で学んだポイントは大きく4つあったように思います。

(1)基礎的なスキルを体で覚える
(2)自ら取りに行く
(3)社内ネットワークをつくる、活用する
(4)ロールモデルをさがす、つくる

基礎的なスキルを「体」で覚える

 まず(1)の基本の徹底。これはどの会社にもある、最低限身につけるべき共通言語のようなもので、これがなければ徒手空拳で敵に挑むようなもの。私が今在籍するコンサルティングファームでいえば、論点設定やスライドの書き方や基本的な分析のやり方、論理的・仮説思考法、ワークプラニング、アンケートやインタビュー設計などといったスキルがこれにあたります。

 三菱商事では、商売の基礎を研修や日々の業務の中で徹底的に叩き込んでくれました。船積み書類作成や処理といった取引の基本はもちろん、取引先へのFAX1枚でも、入社後数年目のインストラクターや課長クラスの上長が一語一句、丁寧に赤を入れてくれました(当時はeメールもプリントアウトして上長の赤入れ、判子をもらってから送信するといった徹底ぶりでした)。

 ちょっとした言葉づかいのニュアンスや数字の抜け漏れも見逃さない。毎回注意するのもさぞかし面倒だろうと思うのですが、決して怠らない。これによって最低限戦える基本OSの部分がやっと培われるのです。私も本当にたくさんヤキを入れられましたが、その経験が次の「自ら取りに行く」ことにつながりました。