国債市場がにわかに不安定化している。2月に入って長期金利が急騰(国債価格が急落)したのだ。金利リスクが意識された結果、株価も国債の入札に左右される局面が出てきた。市場関係者からは、国債市場の著しい機能低下を招いた日本銀行の金融緩和策に対して、限界説も聞こえてくる。

日本銀行の黒田東彦総裁は2月18日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加緩和について、「現時点では必要ない」と述べた
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 債券市場の一大イベントであるはずの日本国債の入札が、株式市場を大きく揺さぶる局面が目立っている。

 2月17日、「不調に終わるのでは」と市場関係者の間でうわさされていた20年物国債の入札が堅調な結果となったことで、日経平均株価は再び1万8000円の大台に乗せる展開となった。

 一方で、国債の入札が不調に終わった場合は逆に、株価が下落に転じるのが、ここ最近の株式相場の傾向だ。

「国債の入札結果に振り回されるのは、それだけマーケットが金利リスクに敏感になってきた、つまりは国債価格の急落(長期金利の急騰)を意識し始めたことの裏返し」。そう語るベテランの債券市場関係者はさらに、株価と国債の不安定な関係は日本銀行の限界をも暗示していると指摘した。

 入札は昨年まで順調で、むしろ金利の低下に歯止めがかからないことが市場では問題視されていた。

 黒田東彦総裁率いる日銀が異次元の金融緩和策として国債を大量に買い入れている副作用で、市場に出回る国債の量が急減していることを受け、長期金利が急落していたためだ。

 長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時、0.195%と史上初めて0.1%台まで低下したのは1月20日のことだ。

 しかし2月に入って様相は一変。国債市場は一気に不安定化する。