経営 × オフィス

人材不足・採用問題解決の切り札はオフィス?
より良い人材を獲得するためのリクルーティング・ブランディング術

大高志帆
【第4回】 2015年2月26日
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リクルーティングに
「オフィス」が重要な理由

 「良い人材を確保しにくい」という問題が、多くの日本企業の課題となっている。帝国データバンクが2015年1月に1万社以上の企業を対象に行った調査でも、全体の37.8%が「正社員の不足」を感じ、24.1%が「非正社員の不足」を感じていた。労働人口の減少が進み、産業構造が変化するなか、アベノミクスの景気回復により一気に「人手不足」の問題が表面化したのだろう。このままでは、今後の景気回復の足かせにもなりかねない。企業はどうすれば良い人材を確保することができるのか。

 一方、視点を変えて、求職者の声に注目してみよう。新卒者を中心に調査・研究を行う「就職みらい研究所」所長の岡崎仁美さんは、新卒者が「働きたい職場」についてこう語る。

 「最近の学生は、人間関係において“和”や“協調”を重視する傾向があります。そのため、オフィス環境においても“社員同士のコミュニケーション”に配慮した施策への支持が高いようです。リクルートキャリアが2014年に15年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象に行った調査でも、『コミュニケーションが密で、一体感を求められる』組織の支持がもっとも高く、『ウェットな人間関係で、プライベートでも仲が良い』組織、『周囲に優秀な人材が多く、刺激を受けられる』組織に対しても価値を感じる学生が多いことがわかりました」

 コミュニケーションが円滑に行われ、職場に一体感があるというのは、企業が目指すビジョンやブランディングが明確な形で提示され、社内でも共有されていることだろう。メディアでは、終業後の飲み会を嫌うなどドライな若者の姿ばかりが取り沙汰されるため、少々意外な結果ではあるが、これが新たに社会に出ていこうという学生の本音なのだという。

 そういった新卒者を始めとする求職者の声を肌で感じ、ブランディングとリクルーティングの両面からオフィス環境の整備に力を入れる企業も多くなっている。それでは、実際にブランディング・リクルーティングに成功した企業を紹介しよう。

「採用の効率化」に結びついている
「海賊」オフィス

 インターネット分野に特化した事業開発会社として、メディア事業やアドテクノロジー事業を展開するVOYAGE GROUP(ボヤージュグループ)。オフィス増床にともなって「慢性的に会議スペースが足りない」「収納が不足している」などの職場環境の課題を整理し、同時に社内の空間デザインも一新した。

VOYAGE GROUPの「海賊」をイメージしたエントランス

 「『VOYAGE』(ボヤージュ)という社名は、実は社員から有志で募ったオフィス改造プロジェクトの名称だったんです。『航海=IT業界で冒険し、新しいことに挑戦し続ける』というコンセプトが会社を貫く経営理念に通じていると感じ、最終的には社名になりました。社名へのメタファーとして、海賊をイメージしたデザインを取り入れています」とVOYAGE GROUP取締役CCO青柳智士さんは話す。

 オフィス全体を「シップ」、社員を「クルー」と呼び、「オアシス」=図書館や「アジト」=社内バーというユニークな設備も兼ね備える。何気ない壁のアートが渋谷駅と社屋の位置関係を表した地図だった……など、見た目にも楽しいオフィスだが、そこはデザインの奇抜さを目的としているわけではなく、あくまでも、社内でのコミュニケーションと社外とのコラボレーションを誘発する目的で「機能的な空間作り」を心がけたという。

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あなたが知らない「オフィス」という経営課題

どうして業績がパッとしないのか――。そんな悩みを持つ経営者は多いだろう。それはもしかしたら、社員が働く「オフィス」に無頓着なせいかもしれない。オフィスのあり方は、社員のモチベーションと密接に関わっている。足もとでビジネス環境・働き方の変化が起こっているなか、これからのビジネスパーソンは、新しい価値の創造や質の高い成果を、ますます厳しく求められるようになっていく。それに伴い、オフィスは単に「作業をこなす」のではなく、「仕事を創造する」場となっていくべきだ。オフィスを変え、社員の能率アップを図るために、経営者や総務・人事責任者が心得るべきトレンドやポイントを、一緒に考えて行こう。

「あなたが知らない「オフィス」という経営課題」

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