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広島・黒田の“男気”に見る名投手の条件

相沢光一 [スポーツライター]
【第337回】 2015年3月3日
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 3月に入るとプロ野球オープン戦が連日行われるようになる。ファンにとっては3月27日の開幕に向けて気持ちを徐々に温めていく時期だが、すでに熱くなっている人たちがいる。広島のファンだ。

 1月半ばには約8300席の年間指定席が完売。これは球団史上初のことだそうだ。最もグレードの高い内野ロイヤルボックスで36万7500円、外野席でも9万8700円の価格設定でもである。また、2月28日には開幕からの公式戦チケット購入整理券が配られたが、そこには約2500人が行列をつくったという。

 近年、広島には「カープ女子」といわれる女性ファンが増えているが、今年は本来の男性ファンが球場に押し寄せることになりそうなのだ。

 いうまでもなく、メジャーで7年間プレーした黒田博樹が復帰するからである。

ファンが惚れる人間性に加え
戦力アップで優勝も視野に

 黒田は1997年に広島に入団。2007年までの11年間、低迷期にあったチームで黙々と投げ続け、103勝89敗という成績を残した。2008年には念願だったメジャー挑戦を果たし、ドジャース、ヤンキースで活躍。とくに最近5年間は連続で10勝以上をあげており、一線級投手の評価を得ていた。実際、所属していたヤンキースは再契約を望み、複数の球団から年俸20億円以上でのオファーがあったという。

 しかし、黒田には「メジャーで一定の成績を残したら最後は広島カープで」という気持ちがあったようで、それを蹴って推定年俸4億プラス出来高で広島に戻ってきた。今年2月で40歳。第一線で投げられるうちに育ててくれた広島に恩返しがしたいという思いだろう。

 それを信じて復帰交渉を続けた広島もいい球団だ。メジャー挑戦時は黒田の夢を実現させようと快く送り出したうえで、それまでつけていた背番号15を空けた。広島はメジャー球団のような高額な年俸は払えない。「メジャーで通用しなくなった時は戻ってきてくれ」というメッセージだ。黒田はそれに応え、まだメジャーで十分やれる今、復帰を決断した。この男気と球団の姿勢にはカープファンだけでなく多くのプロ野球ファンが感動したはずだ。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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