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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

人民元の基軸通貨化を進める
中国の狙いを教えてください

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第6回】 2015年3月4日
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そもそも基軸通貨になるメリットは
どこにあるのでしょうか?

 実は「基軸通貨」には明確な定義はなく、「主たる国際通貨」を意味します。国際通貨とは、国際的な取引・決済に使われる通貨のことです。海外との取引(外国為替)の取引で問題なのは、為替レートが動くことです。企業は先物予約などを使って、リスクをヘッジしています。それが国際通貨・基軸通貨になると、自国の通貨がそのまま使えて、取引がとても楽(為替変動リスクがゼロ)になります。

 さらに本当のメリットは、国、特に通貨当局(中央銀行・財務省)にとってのものです。マクロ経済において、たとえば貿易赤字を刷った自国通貨で払うことが可能になり、赤字の穴埋めができるのです。これはもちろんお札でなくても同様で、このメリットは大きいのです。米国のドル、特にドル紙幣は100ドル札や50ドル札が国内で使えないことからも分かるように、輸出、つまり海外に支払われます。

 しかも、国内の通貨の増刷と違って、国内がインフレになりにくい。さらに、海外で保持されるドルは、預金されたままだと収益性が低いので、米国債が買われることになります。この構図は中国と米国の現在の関係でもあり、中国は外貨準備においてドルと米国債を約4兆ドル保有しています。

なぜ中国は人民元を
基軸通貨にしたいのでしょうか?

 2008年のリーマンショックは米国発の金融危機で、ドルも盤石でないことを示しました。現在、中国は世界第2位の経済大国となり、約4兆ドルという世界一位の外貨準備を保有していますが、その多くがドル建てです。そのため、ドルの不安定さと下落は死活問題でした。

 2009年のG20金融サミットで中国は「IMF・世銀改革」を訴えました。事前に周小川人民銀行総裁は「国際通貨制度改革」に関する論文を公表し、一国の通貨ドルに依存する経済体制は危険で、せめて世界を代表する通貨としてIMFの通貨SDR(Special Drawing Rights:特別引き出し権:ドル・ユーロ・ポンド・円から構成)を示し、そこに人民元も加えるように求めました。しかし、米国の反対で実現せず、それならば、と、本件をきっかけに通貨政策・国際金融政策を反転させ、自ら非ドル圏・中国経済圏の確立に向かい、「30年計画」で人民元をドル・ユーロに並ぶ国際通貨、そして基軸通貨にすべく動き出しました。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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