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China Report 中国は今

老舗が消え、食べ放題ばかり…
横浜中華街はどこへ向かう?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第173回】 2015年2月27日
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 バチバチバチバチ----。2月19日、春節を迎えた横浜中華街では、けたたましく爆竹が鳴り響いた。太鼓とシンバルの音に合わせて獅子舞がうねる。その獅子舞は一軒一軒と通り沿いの店舗の中に入り込んでは、その大きな口をパクパクとさせ客人や従業員の頭を撫でまわる。

 「頭を撫でてもらえば、その年は健康や発展にあやかれるんです」

ここ数年の変貌ぶりに異国情緒が消えたとの声も

 そう語るのは老舗中華料理店で長く働く女性だ。創業は明治、横浜中華街の伝統を頑なに守り続けるひとりである。秘伝のタレで漬け込んだチャーシューもさることながら、屋号の入った昔ながらの食器からもそのプライドが伝わってくる。

 その女性は言う。「横浜中華街もだいぶ変わりましたよ」――。

 横浜中華街の変化、それはすでに「中華街ファン」からも声が上がっていた。その声はむしろ失望に近い。

 横浜市中区に勤務するIさんはこう語る。

 「老舗がどんどん減っています。昔、腕を振るった名コックたちが中華街の外で開店、安くておいしいので、私自身、すでに横浜中華街に足を向けなくなりました」

 かつて横浜市の港北区に在住していたというKさんは「20年ぶりに訪れたが、今では『食べ放題』と物売りばかりだ」と驚く。また、自称「浜っ子」のHさんは「昔は情緒溢れる横浜中華街に友人を案内するのが自慢だったが、今ではそんな気分になれない」と失意を隠さない。

 過去の横浜中華街を知るコアなファンほど、その落胆は大きいようだ。横浜市の行政に携わる人物も忌憚ない意見をぶつける。

 「横浜中華街は日本の他都市にない“異国情緒”が売りだったはず。しかしながら昨今は、単なるアミューズメント空間に成り下がった感は否めません」

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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