経営 X 人事
中原淳の学びは現場にあり!
2015年3月4日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授],井上佐保子

新人も“表舞台”に立たせる「2つの理由」
日本一“人が育つ”予約殺到料理店
検証現場⇒日本料理店「六雁」【前編】

銀座の「六雁」は連日満席が続く人気の日本料理店。旬の野菜を名物とした独創的な日本料理のコースは一品一品が目にも鮮やかで、まるでアートのよう。若い料理人たちが、きびきびと立ち働く姿が印象的なこの店のコンセプトは「人材育成」。人が育つ日本料理店の秘密に迫ります。

〔写真/真嶋和隆〕

「オープンキッチン」が人材育成の仕掛けに?!

 銀座・並木通りに店を構える「六雁」。店内に入ってまず目に飛び込んでくるのは、広々としたキッチンとそれに続く重厚な一枚板の大テーブル。そう、この店は日本料理店には珍しいオープンキッチンなのです。

 清々しく整えられたキッチンで手を動かすのは若き料理人たち。なんとこの店に働く料理人、ホールスタッフ16名の平均年齢は26歳。料理長を務める秋山さんも若干37歳というから驚きです。

 実はこの店のコンセプトは「人材育成」。今回は、世にも珍しい「人を育てる料理店」について、「六雁」のディレクター榎園豊治さんに伺いました。

 「六雁」を立ち上げ、現在は店全体を見守る榎園さんは、関西の名門料亭の料理長を歴任するなど華々しい経歴を持つ料理人です。「六雁」がオープンしたのは2004年。

 事業コンセプトを「人材育成」としたのは、「伝統的な料理人の世界にいた私が、人生の折り返し地点に差しかかり、今までにない新しいやり方で、日本料理の職人を育てたいと感じたからです」。

 榎園さんが和食の世界に入ったのは大学を卒業した22歳の時。「和食の世界で世界一になる」と、密かな野望を抱いて関西の料亭に見習いとして入るも、そこは強烈な縦社会でした。「見習いはいわれたことを何でもする雑用係。『坊主、あひる、追い回し』などと呼ばれ、まず人間扱いされません」

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 

井上佐保子(いのうえ・さおこ)

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。通信社、出版社勤務を経て、2006年にフリーランスライターとして独立。企業の人材育成、人材マネジメント、キャリアなどをテーマとして、企業事例、インタビュー記事などを執筆。人事・人材育成分野の書籍ライティングも手がけている。


中原淳の学びは現場にあり!

このコーナーでは、毎回、“学びに満ちた仕事の現場”を訪問し、WorkplaceLearning(職場の学び)の観点から、検証していきます。日頃はあまり目にすることのないさまざまな職種の「現場」。そこでは、どのような仕事がなされ、人はどのようにして知識やスキルを学び、育っているのでしょうか。企業の人材育成では見落とされがちな「学びのスイッチ」を掘り当てます。

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