経営 X 人事
中原淳の学びは現場にあり!
【第4回】 2015年2月24日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授],井上佐保子

「背中を見て学べ」じゃ間に合わない!今ドキ若手育成
寡黙な年配職人たちを育て上手に変身させた“秘策”とは


⇒検証現場 銀座テーラー【後編】

かつては「煙草店の数ほどあった」テーラー。それだけに日本のハンドメイドスーツの技術は奥深く、コンピュータでは表現できない絶妙な曲線、フィット感を描き出すことができるのだそう。しかし、あらゆる業界が直面している「高齢化ショック」が、今やこの世界をも飲み込もうとしています。貴重な技術は永遠に失われてしまうのか?!そこで、銀座テーラーの経営者はある決断をくだします。彼女が開いたのは、なんと“学校”だったのです――。

〔写真/真嶋和隆〕

職人が教える「スーツづくりの学校」

専務取締役の鰐渕祥子さん。「伝統技術の継承はもちろんですが、幅広い年代層のお客様に対応するためにも若手職人の育成は急務でした」

 専務取締役の鰐渕祥子さん。「伝統技術の継承はもちろんですが、幅広い年代層のお客様に対応するためにも若手職人の育成は急務でした」

 そもそも日本の服飾専門学校でメンズスーツのつくり方を教えているところはほとんどなく、「むしろ『服づくりの基本であるテーラーメイドの技術を学びたい。ぜひ教えてほしい』という人が多かったのです」(鰐渕専務取締役)。

 「次世代の職人を育てなければ、もはや伝統の技術は守れない」と危機感を強め、職人の育成と技の伝承の必要性を強く感じた鰐渕代表取締役社長は、2006 年に日本で唯一、プロの職人が講師となってスーツづくりの技術を伝える日本テーラー技術学院を設立します。

 伝統の技術を一般に公開し、学びたい人に積極的に門戸を開く姿勢が世に受け入れられたのでしょうか。3年ほど前、20代の職人が3名入社しました。

 一時は敬遠されていた職人の仕事ですが、今の若い人には、既製服にはないテーラーの職人技が、魅力的なものとして映っているようです。

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 

井上佐保子(いのうえ・さおこ)

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。通信社、出版社勤務を経て、2006年にフリーランスライターとして独立。企業の人材育成、人材マネジメント、キャリアなどをテーマとして、企業事例、インタビュー記事などを執筆。人事・人材育成分野の書籍ライティングも手がけている。


中原淳の学びは現場にあり!

このコーナーでは、毎回、“学びに満ちた仕事の現場”を訪問し、WorkplaceLearning(職場の学び)の観点から、検証していきます。日頃はあまり目にすることのないさまざまな職種の「現場」。そこでは、どのような仕事がなされ、人はどのようにして知識やスキルを学び、育っているのでしょうか。企業の人材育成では見落とされがちな「学びのスイッチ」を掘り当てます。

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