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デジタル流行通信 戸田覚

究極の枯れコンテンツ「辞書ソフト」の大ヒットが、iPhoneの可能性を広げた!

戸田 覚 [ビジネス書作家]
【第70回】 2009年3月30日
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 発売開始からデジタル市場の話題を独占して来た「iPhone」。日本でもヒットしたことは間違いないが、これが「大ヒット」と呼べるかどうかは、微妙である。

 iPhoneは一般の携帯電話と違い、いわゆるスマートフォンに近い存在なので、そもそも通常の携帯電話に置き換わるような存在にはならないのだ。もちろん、“スマートフォン”としては、よく売れている。

 iPhoneの特徴の1つが、アプリケーション群だ。単に色々なアプリケーションが追加できるだけではなく、「App Store」を通じてユーザーがそれらを直接購入できる仕組みも用意されているのだ。

 これは、「iPod」のヒットによって、「ダウンロード購入」の仕組みを確立させた流れと似ている。

 iPhone用のアプリケーションは、数え切れないほど登場している。魅力的なゲームも多いのだが、残念ながら制作者が期待したほど売れていないものが多いようだ。

大辞林
大辞林のインデックス表示で「春の季語」を開いてみた。指先でたぐっていくと次々に春の言葉が現れる。それにしても、日本語はなんて美しいのだろう。

 ところが、そんななか、「辞書ソフト」が売れに売れていることをご存じだろうか。なんと、物書堂がリリースした「大辞林」がヒット中なのだという。

 iPhone用のソフトは、「無料や100円」というものが多く、当初高価な値付けをしていたソフトが大幅に値下げをしている様子も度々目にする。売れていれば値下げなど考えられないから、要は苦しいのだろう。

 それに対して、大辞林はiPhone用ソフトとしては非常に高価で、2500円もする。にもかかわらず、常にランキング上位に入るほど売れているのだから、すごい。

 「約25000本も売れていて、当社でも驚いているほどです」(株式会社物書堂の廣瀬則仁代表取締役)

 廣瀬氏は、元々Mac用のワープロ等を開発していたエルゴソフトに所属していた。だが、同社が事業を停止するに当たって、同僚の荒野氏とともに独立し、物書堂を設立したのである。

 「資本金600万円でスタートしました。2人で30万円ずつ給料を取って、何ヵ月継続できるのか――そんな状態でのスタートでした。それでも、辞書ソフトを作るにはそれほど時間がかからないので、何とかやって来れたのです」(廣瀬氏)

 辞書ソフトのソースは、すでに出版社が作り上げている。それをソフトに組み込んでいるわけだ。同じ辞書ならば、紙、ソフト、電子辞書など、どんな媒体でも基本的に内容は変わらない。

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戸田 覚[ビジネス書作家]

1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、有限会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。
著書に『あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)、『LinkedIn人脈活用術』(東洋経済新報社)など多数がある。
著者ブログ:http://www.toda-j.com/weblog/
株式会社アバンギャルドHP:http://www.avant-garde.jp/


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