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0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる
【第3回】 2015年3月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
スティーヴン・レヴィット [シカゴ大学経済学部教授],スティーヴン・ダブナー,櫻井祐子

世界屈指の経済学者が次期首相に正論を聞いてみた。
こうして政治家はムダな政策をし続けるのか!

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いま、世界で最も読まれている思考法「0ベース思考」とは、いったいどんな考え方か?
ノーベル賞の先行指標と言われるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したシカゴ大学の「鬼才」経済学教授スティーブン・レヴィットと敏腕ジャーナリストのスティーヴン・ダブナーによる書籍『0ベース思考』は、全米で超異例の初版50万部で刊行され、シリーズ750万部を超えるなど欧米を中心に爆発的な話題となり、いまや日本でもベストセラーリストを賑わせている。
本連載では、同書から冒頭部分を全3回で紹介する。最終回の今回は、著者らがイギリスの次期首相に、公共政策について経済学的な「正論」の政策提言をぶつけた際のエピソードを暴露した話である。

本当のことを言うと「変人扱い」される

 もちろん、フリークみたいに考えたい人ばかりじゃないだろう。デメリットもいろいろ考えられる。主流から遠く遠く外れるかもしれない。気まずいことを言ってしまうかもしれない。気さくで感じのいい3人の子もちの夫婦に、「チャイルドシートは時間とお金の無駄ですよね」と口走ってしまう(少なくとも衝突試験のデータはそう示している)。

 新しい彼女の実家の夕食会に招かれて、「地産地消運動はかえって環境に悪いんですよ」と一席ぶってから、彼女のお父さんが筋金入りの地産地消主義者で、食卓の何もかもが半径80キロ圏内で生産されたものだと知る。

 変人扱いされたり、人でなしと呼ばれたり、席を蹴って部屋を出て行かれることにも慣れなくちゃいけない。これはぼくたち自身、じかに経験していることだ。

『超ヤバい経済学』を出してすぐプロモーションでイギリスを訪れたとき、その後まもなくイギリス首相になったデイビッド・キャメロンに呼ばれて会いに行った。

 彼のような立場の人にとって、ぼくたちみたいな人間にアイデアを求めるのは珍しくないんだろうが、当のぼくたちはお招きを受けてびっくりした。だって『超ヤバい経済学』では、政治家が躍起になって操作しようとする、インフレやら失業やらのマクロ経済要因のことはほとんど語れないと、しょっぱなからぶちかましていたんだから。

 それだけじゃない。ややこしい問題には立ち入らないのが政治家の鉄則だというのに、『超ヤバい経済学』はイギリスで早くも物議を醸しまくっていた。

 全国放送のテレビに出演したときなんか、ぼくたちがテロ容疑者をつきとめるためにイギリスの銀行と一緒につくったアルゴリズムを説明した章のことで非難が殺到した。テロリストが検知をすり抜けるのを手助けするような情報をうっかり公開するなんて、いったいどういうわけなんだと、インタビュアーにぎゅうぎゅう問い詰められた(当時は質問に答えられなかったが、この本の第7章にその答えがある。ヒント:うっかり公開してなんかいない)。

 それに、一般的な地球温暖化対策には意味がないと書いたことでもひんしゅくを買っていた。実際、ぼくたちを迎えに来てくれたロアン・シルヴァという、キャメロンの腹心のキレ者の政策顧問は、近所の書店には『超ヤバい経済学』を置いていないと教えてくれた。地球温暖化の章が書店の主人のお気に召さなかったらしい。

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スティーヴン・レヴィット [シカゴ大学経済学部教授]

 

シカゴ大学経済学部教授。ハーバード大学(経済学)を最優等で卒業後、MITで経済学のPh.D.取得。94年から97年までハーバード大学のエリート研究者養成制度ソサエティ・オブ・フェローズのジュニア・フェローに選出。03年、ノーベル経済学賞の登竜門と言われるジョン・ベイツ・クラーク賞受賞。04年よりシカゴ大学ベッカー・フリードマン研究所ディレクターを兼務。06年、タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に選出。09年、ノーベル経済学賞を受賞した故ゲーリー・ベッカー、ダニエル・カーネマンらとTGGグループを設立。スティーヴン・ダブナーとの共著に、世界的ベストセラー『ヤバい経済学』『超ヤバい経済学』(ともに望月衛訳、東洋経済新報社)がある。

 

 

スティーヴン・ダブナー

 

コロンビア大学でMFAを取得。同大学で教鞭を執った後、ジャーナリストに。NYタイムズ誌、ニューヨーカー誌、タイム誌ほかさまざまなメディアで執筆を行う。著作にレヴィットとの共著の他、『さまよえる魂』(未邦訳)などがある。

 

櫻井祐子(さくらい・ゆうこ)
幼少期よりヨーロッパやオーストラリアなど、10年以上を海外で過ごす。雙葉学園、京都大学経済学部経済学科卒。大手都市銀行在籍中にオックスフォード大学で経営・哲学修士号を取得。東京在住、一女一男の母。
訳書は、『選択の科学』(文藝春秋)、『イノベーション・オブ・ライフ』(翔泳社)、『100年予測』『エッセンシャル版マイケル・ポーターの競争戦略』(早川書房)、『劣化国家』(東洋経済新報社)など多数。


0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる

いま、世界で最も読まれている思考法「0ベース思考」とは、いったいどんな考え方か?
その考え方を紹介した書籍『0ベース思考』は、全米で超異例の初版50万部で刊行されるなど、欧米を中心に爆発的な話題となり、いまや日本でもベストセラーリストを賑わせている。
その思考法は「ワールドカップでPKをどの方向に蹴るべきか」といった卑近な問題から「イギリスの公共政策」のような難問まで、あらゆる問題をバイアスをゼロにして考えることでシンプルに解決してやろうという大胆なものだ。
かつて『ヤバい経済学』で一世を風靡した著者コンビによる、世界中の読者の目からウロコを落としまくっている新作の冒頭部分を全3回で紹介する。

「0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる」

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