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佐高 信の「一人一話」

先輩をからかうワルイ女、檀ふみ

佐高 信 [評論家]
【第17回】 2015年3月23日
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 大学ゼミ同期の岸井成格と共に久しぶりに阿川佐和子と会ったとき、檀ふみも一緒だった。ずいぶん前の話だが、二人とも慶応の後輩で、背の高い檀の方が背の低い阿川より年下である。その後、大分県知事だった平松守彦が上京するたびに集まる小さな会で会い、私がホストの『俳句界』の対談に出てもらった。2006年初夏のことである。

「女心を知り尽くしていらっしゃるんですね」

 のっけから檀はからかい口調だった。

 「女性と話すときに全然緊張とかなさらないでしょう……」

 思いもよらぬジャブを食らって、「女姉妹の真ん中で育ちましたから」と返すのが精一杯。

 “辛口評論家”とか呼ばれて恐がる人が多いのに、何度か会っているとはいえ、彼女には微塵もそんな気配はない。

 「まあ、女心を知り尽くしていらっしゃるんですね。モテますでしょう」と二の矢を放たれて、私は早々に受け身にまわっていた。「全然、男性でモテるといえば伊集院静」と躱(かわ)したつもりだったが、檀は伊集院の「別れの夜湯豆腐だけが音を立て」という句を紹介し、「あやうい男女の別れの句。こんなご経験がおありなのでは?」と突っ込んでくる。

 「ないですよ!」とムキになって否定すると、「ホントかしら?」と揶揄する。「こんな句を詠んで“さま”になるのは伊集院静だけ。私などは、なるべく誠実に“こと”を運ぶ以外ない(笑)。だからモテる男に反感を抱く」と居直ったが、すでにして敗色濃厚である。

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

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