処女作『ピーター・リンチの株で勝つ[新版]』に続く第二弾! 読者がもっとも興味のあった「ピーター・リンチはどのようにして、資産を増やしていったのか」という疑問に答える中身になっています! 新訳版として、さらに読みやすくなり、黄金律は5つ追加され、25の黄金律として収録。本書より、ピーター・リンチの投資戦略が垣間見られるエピソードを全5回にわたって紹介。
新刊『ピーター・リンチの株の法則 90秒で説明できない会社には手を出すな』の連載第2回。

娘のアドバイスを無視して後悔した過去

 2、3年ほど前のこと。次女のアニーからこんな質問を受けた。

「クリアリー・カナディアンって、上場してるの?」。

 私の家では、この種の質問をすることが奨励されている。子どもたちがこの新しい炭酸飲料を気に入っていることは、私もすでに知っていた。冷蔵庫がクリアリー・カナディアンの瓶でいっぱいだったからだ。

 だが、私は宿題をやらなかった。S&Pのガイドブックで探したものの、上場会社のリストに名前がなかったことからすぐに忘れてしまったのだ。

 その後、この会社はカナダの取引所に上場しており、S&Pのガイドブックにはまだ載っていなかったことが分かった。逃した魚は大きかった。

クリアリー・カナディアンは1991年に株式を公開した後、株価が3ドルから26ドル75セントへとわずか1年でほぼ9倍になっていたのだ(その後、15ドルに下がったが)。

10年かかっていてもうれしい高リターンである。もちろん、これは私が91年の「バロンズ」で推奨したどの銘柄よりも高い成績だった

 娘たちがレストランのチリズを勧めてくれたときも、私は無視してしまった。3人とも、この会社のロゴが入ったグリーンのスウェットをよくパジャマ代わりにしていたが、私はそれを見るたびに、あの子たちのアドバイスをもっと真剣に受け止めておけばよかったと悔やんだ。

 もし自分の子どもたちといっしょにショッピング・モールに行っていれば、すぐにギャップの店に連れて行かれ、1986年から91年までの6年間で1000%という高いリターンを生む銘柄に出会えたのに(91年になってからギャップに連れて行かれても株価は1年で倍になっていたのに)、そういうことはせずに隣人の的外れなアドバイスに従って金鉱株や商業用不動産パートナーシップを買ってしまった――そういう親はたくさんいるのではないだろうか。

 親というものは、自分の子どもは個性的だと考えたがる。しかし、帽子やTシャツ、わざとしわくちゃにしたジーンズなどについて言えば、彼らの好みはみな同じだ。

 だから長女のメアリーがギャップで洋服を買っていたら、たぶん、ほかの10代の子どもたちも全米各地のギャップの店で洋服を買っていると考えてよい

 メアリーがギャップを調査対象にしたのは1990年の夏、新学期に着ていく服をバーリントン・モールの2階にある店で買ったときだった(ショッピング・モール・ウォッチングのベテランから一言。2階建てのモールでは、一番繁盛している店は2階にあるのが普通だ。最も流行っている、つまり最も儲かっている「たまり場」に行くまでに、できるだけ多くの買い物客ができるだけ多くの店の前を歩くようにするためだ)。

 ギャップがジーンズ店だったときには、メアリーはあまり評価していなかったが、ほかの何十万人という10代の子どもたちと同様に、同社のカラフルな新製品に惹かれていった。実は私はこの銘柄でも、チリズやクリアリー・カナディアンと同様に、強力な買いシグナルを見逃した。92年には、もうこの過ちは繰り返すまいと固く心に決めた。


第3回「バフェットからピーター・リンチへの1本の電話」は、4/13(月)配信予定です。