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岸博幸のクリエイティブ国富論

「かんぽの宿」騒動で分かった!
賛否両論なき日本のネットはゴミの山

~今こそトーマス・ジェファーソンの名言に学べ~

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第27回】 2009年2月13日
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 私は“かんぽの宿”騒ぎで色々なことを考えさせられましたが、その中で、インターネットについても宗旨替えせざるを得なくなりました。少なくとも日本では、インターネットは民主主義やジャーナリズムといった社会の基盤の強化には全く役立っていません。マスメディアが苦境に陥ってもインターネットがあれば大丈夫なんて理想論は忘れましょう。日本における民主主義やジャーナリズムの将来のためには、マスメディアの再生が不可欠なのです。

トーマス・ジェファーソンの名言

 トーマス・ジェファーソンのことを知らない人はいないでしょう。米国が欧州の植民地支配から独立するときにアメリカ独立宣言を起草した人物であり、民主主義の歴史を語る上で欠かせない人物です。では、読者の皆様は、そのジェファーソンが1787年に記した以下の名言をご存知でしょうか。「“新聞のない政府(a government without newspaper)”と“政府のない新聞(newspaper without a government)”のどちらかを選べと言われたら、私は迷わず後者を選択するであろう。」

 そうです。民主主義の旗手であったトーマス・ジェファーソンは、民主主義の維持のためには政府よりもジャーナリズムの役割が重要であることを、18世紀末の時点で喝破していたのです。

 時代は移って21世紀に入り、デジタルとインターネット(以下“ネットと略します)の普及によって、世界中の新聞が広告収入の激減で瀕死の危機に喘いでいます。新聞ほどひどくないにしても、テレビ、特にローカル放送も同様の苦境に直面しています。トーマス・ジェファーソンが重視した新聞のみならず、ジャーナリズムの担い手であるマスメディア全体が崩壊の危機にあるのです。マスメディアのビジネスモデルが時代遅れになったことが最大の要因であり、経済危機はそれを早めただけに過ぎません。

インターネットに期待された役割

 その一方で、マスメディアから逃げ出した広告費が流入してネットは隆盛を極めています。その中で、マスメディアはネットを積極的に取り込み、草の根のシチズン・ジャーナリズムが勃興し、今やネットがジャーナリズムの担い手になるかのような勢いです。では、それは良いことなのでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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