たとえば、柄のあるマグカップが置いてあるとしよう。今までの企業のリーダー達を象徴的に表現するなら、全員がAという場所から、このマグカップを見ているという状態である。色も形も、全員に同じように見えるので、「白いコップである」というモノの見方、評価など全員一致で、話を進めて行くのである。

 しかし、「多様な視点」が組織の中に入ると、どうなるか。A以外に、BやCの場所からこのマグカップを見る人がでてくることになる。いままで「白いコップ」だとおもっていたのが、B地点からは、持ち手が見える。すると、「これはコップではなく、持ち手のついたマグカップに見えます」と指摘することができる。C地点からは、持ち手だけでなく、さらに赤いインクで馬の絵が描かれているのが見えた。「白いコップではなく、赤い馬の絵が描かれているマグカップです」と発言する事ができるのである。

 本当は、白地に赤い馬の柄があるマグカップなのに、「白いコップ」だと思い込んでいる集団に経営されるより、「白地に赤の馬の絵が描かれたマグカップである」と理解できている経営陣が組織を動かしていく方が、多様な消費者、株主に受け入れられる経営ができるだろう。なぜなら、消費者や株主は、360度、様々な角度にいて、企業を見ているからだ。

 つまりダイバーシティの本質は、性別でも年齢でもなく、「視点のダイバーシティ」であるというのが、私の指摘である。違ったものの見方ができる人が集まる組織が、健全であり、強い。女性を参画させることですべて組織の問題が解決するかは不明であり、また、男性だけでも多様な組織を作る事は理論上できる。しかし、多様な視点を持つ人をどう素早く集めたら良いかを考え、まずは性別や年齢、学校や国籍等を多様にするという方法を活用し、比較的容易に多様な視点を集めようというのが現在の状況ではないか。

 では、このダイバーシティがどんな風に企業経営や、私たち一人ひとりの働き方に影響をするのか。それを次回から書いていきたいと思う。