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“ヘッジファンド時代終焉”で投資は正攻法へと回帰するのか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第54回】 2008年11月18日
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 今年に入って、ヘッジファンドの収益状況が極端に落ち込んでいる。あるリサーチによると、今年1月から10月までのパフォーマンスは、マイナス15%程度と、惨憺たる状況だという。

 これまで高い収益をセールスポイントに成長を続けてきたヘッジファンドだが、ここへ来て高いリスクを採ったことが完全に裏目に出ている。

 サブプライム問題をきっかけにした“100年に1度の金融危機”のさなかで、多くのファンドが破綻の危機に直面したり、投資家からの解約要請によって身動きが取れない状態に陥っているのだ。金融市場を席巻したヘッジファンドは、まさに「総崩れ」の状況に追い込まれている。

 それに伴い、ヘッジファンドが手持ちのポジションを手仕舞ったり、現金化する動きが顕著になっている。

金融市場を左右する
ヘッジファンドという存在

 もともと、ヘッジファンドはほとんど手元資金を持っていない。手許に資金を残すと、そのぶんだけ投資効率が低下するからだ。また、一般的にヘッジファンドの動きは一方向に動き易い。「原油が上がりそうだ」といえば、多くのファンドが原油先物を大量に買い上がる。そのため、マーケットを一方向に大きく振れさせることが多い。 

 そういう彼らの動きは、金融市場の振れ幅を増幅する要因の1つにもなっている。振り返れば、金融危機不安が本格化した今年9月以降、特別なニュースがないにもかかわらず、日経平均株価が700円下げたり、翌日には500円も上がったりなどという、過去になかったほど荒っぽい展開を示すことが多かった。その背景には、紛れもなくヘッジファンドによるオペレーションの影響がある。

 今後も年末にかけて、決算期を迎えるヘッジファンドの手仕舞いは続くと見られるため、金融市場の不安定な動向が予想される。

 それにしても、金融市場に大きな影響を与えるヘッジファンドとは、そもそも何か?

 ヘッジファンドとは、特定少数の投資家から投資資金を集め、それを小人数の“敏腕”ファンドマネジャーが運用して、その収益を投資家に分配する仕組みと考えればよい。一言で言ってしまえば、われわれ庶民にも身近な投資信託と同じような仕組みなのだが、大きく違う点が3つある。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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