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アマデウスたち

千住 明
ジャンルを超えた音の美を創る

週刊ダイヤモンド編集部
【第15回】 2008年2月8日
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千住 明
写真 加藤昌人

 力のある映像音楽は、映像に溶け込みながら一人歩きもする。時を経て、記憶の海から映像と情感を引き出す重要なタグになる。映画「226」、TBSドラマ「高校教師」「砂の器」などで数々の名曲を生み出し、昨年はNHK大河ドラマ「風林火山」に臨んだ。「機が熟して、ここにたどり着いた」。

 プロデューサーとしても偉才だ。中森明菜のカバーアルバム「歌姫」は、シリーズでミリオンセラーに。続く「艶華―Enka―」も2007年6月末に発売されるやいなや、ヒットチャートを駆け上がった。

 慶應義塾大学工学部に入学するまで、音楽はかけがえのない趣味であり、このうえない遊びだった。「お茶を濁すな」。当時、日本画家の道を歩き始めた兄博の言葉に背中を押され、作曲家になる決意を固める。慶應工学部教授だった父鎮雄に明かすと「30歳まで時間をやる」とあっさり学籍を抜いてきた。条件は東京藝術大学大学院の首席修了。29歳でその高いハードルをクリアした。「藝大で基礎から徹底的に学び一流の職人になった。アーティストになれるかどうかは、持って生まれたかどうかだ」。父は息子の天分を微塵も疑わなかった。

 「音楽は人に聴かれ、必要とされ命を得る。ポピュラーであれ、クラシックであれ、美しいものを創りたい。美しさは決して進化の先にあるわけではない。戻ってもいい美しさがある」――「ようやくそう言えるようになった」。音楽の神が、アーティストの許しを与えたのだろう。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

千住 明(Akira Senju)●作曲家 1960年生まれ。慶應義塾大学工学部中退、東京藝術大学作曲科卒業。同大学院を首席で修了。修了作品「EDEN」(1989年)は史上8人目の東京藝術大学買い上げとなり、東京藝術大学大学美術館(芸術資料館)に永久保存されている。故・父鎮雄は工学博士。兄博は日本画家。妹真理子はバイオリニスト。

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