香港のメディアに載っていたあるニュースがここ数日、中国本土のネットを賑わせた。ニュージーランドでも特に人気の高いリゾート地のコロマンデルの近くに、Slipper Islandという島がある。同国では、個人保有の数少ない島の一つとして知られるそうだ。最近、この島のほとんどを購入する手続きを、同国に住む自称主婦の中国人女性が進めている。

 217ヘクタールの土地、2棟の建物、リゾート用の平屋4つ、数個のビーチ、小型飛行機用の滑走路を含むその島を、この女性は750万ニュージーランド・ドル(約6億7400万円)をつぎ込んで購入する。目的は娘さんへのプレゼントだそうだ。娘さんの話によれば、島を購入してからどうしようといったことはその女性はまだ考えていない、という。

 海外に住む中国人の中には裕福な人が多い。こうした話はこれまでも聞いたことがある。その意味では、別に彼女たちに羨望の目を向けることもなく、密かに妬く心境に陥ることもない。ただ、それでも今度の原稿にこのことを取り上げたのは、中国国内をはじめ中国人社会に広がる所得格差の問題を考えてみたいからだ。

番組取材で心奪われた
雲南省の農村の雄大な景色

 ちょうどその数日前に、私はfacebookや中国のSNS微信(WeChat)にチベットの芒康にある塩田の景色を写した写真をアップした。太陽の光で金色に輝いている塩田の棚田に、瀾滄(ランツァン)江の水を担いできて塩を精製する女性たちのシルエットという構図の写真だ。完成度が高く、非常に美しい撮影作品だ。すぐに多くのいいねとコメントをいただいた。その中の、ある在日新華僑の女性が次のような感想を述べている。

「以前は、段々畑の写真を見てただ美しいと思っていただけだった。新潟の段々畑で一日、働いてから、農作業をするときの苦労をいやというほど体感できた。それ以降、このような美しい景色を写したものを見ると、頭の中は『大変だ、大変だ』という感想ばかりとなった」

 その女性の感想に私もまったく同感だと思う。思いが翼を広げ、2001年5月の雲南省に飛んだ。