世界50カ国でオンライン動画配信するネットフリックス。米国では月額料金8.9ドルという価格で支持を広げてきた
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 オンライン配信こそテレビの新しい形である──。そう信じてやまない米ネットフリックスが今秋日本に上陸する。注目されるのは、全世界5740万人に上る膨大なユーザーを基盤にした、オリジナル作品の配信能力だ。

「あれと同じことを日本でもやられたら脅威だ」

 国内でオンライン動画配信サービスを手掛けている企業幹部たちが口をそろえて挙げるのが、2013年2月にネットフリックスが独自配信を始めた連続ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」だ。

 映画監督のデヴィッド・フィンチャー氏が手掛けるこの作品は、ホワイトハウス入りを目指す下院議員を主人公にした政治サスペンスドラマ。最初のシーズン(全13話)だけで100億円以上を費やした作品は大ヒットとなり、米テレビ界のアカデミー賞といわれる「プライムタイム・エミー賞」をオンライン配信作品として史上初めて受賞するなど称賛を浴びた。

 さらに今月には、米ディズニーと組んで人気コミックのヒーローを主人公にした連続ドラマ「デアデビル」の世界同時配信をスタート。毎週のように新作の“封切り”をしている。

 そうした成功を一段と強固にしているのが、ユーザーの視聴データの分析だ。膨大なデータから好みのコンテンツを次々と推薦することで平均1日1時間以上と高い利用時間を維持。1997年にDVDの宅配ビジネスから始まった同社は、オンライン配信の巨人となり、米国の大手テレビ局の経営に影響を与える存在になっている。

「日本でのサービス展開も、やはり鍵になるのは独自コンテンツ。民放各局を回ってドラマの先行配信契約などを打診している」(業界関係者)と、着々と仕込みを進めているようだ。