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韓国経済急減速の真実
「強い韓国」はどこへ行ったのか?(下)

――向山英彦・日本総合研究所上席主任研究員に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
2015年4月23日
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>>(上)より続く

むこうやま・ひでひこ/日本総合研究所上席主任研究員。中央大学法学研究課博士後期過程中退、ニューヨーク大学で修士号取得。 証券系経済研究所を経て、1992年さくら総合研究所入社し、現在日本総合研究所調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。専門は韓国を中心にしたアジア経済の分析

 ただし近年、大学を卒業しても就職できない子どもが多く、大学院や就職予備校に通ったりしているため、高齢になった親が子どもの教育費負担に苦しむケースも少なくありません。

 こうした状況を打開すべく、朴大統領は大統領選の際に、「65歳以上の全ての高齢者に月20万ウォンの基礎老齢年金(現在の名称は基礎年金)を支給する」と公約しました。しかし、これを「増税せずに実現する」と言ってしまったことで、その後自らの政策を縛ってしまいます。

 経済成長を通じた自然増収、支出構造の調整、税金の非課税や減免の見直し、課税を免れている地下経済の炙り出しなどによって財源を確保しようとしましたが、景気低迷で税収が伸び悩んでいることもあり、十分な財源を確保できないことが判明しました。そこで結局、「所得上位30%には支給せず、残り70%には最大20万ウォンまで支給する」という方針へ、内容を大幅に変更せざるを得なくなりました。

 高齢化の進展に伴って増加する福祉関連支出を、どうやって確保していくのか、これは経済革新に並ぶ大きな課題と言えるでしょう。

「経済革新三ヵ年計画」と景気対策の行方
朴政権の経済政策はなぜ手詰まり感があるのか?

――朴政権は経済政策を重視してきたイメージがありますが、短期・長期の対策を打っても、なかなか成果が出ないわけですね。朴政権に対する国内や国際社会からの評価は、どうなっていますか。

 朴大統領の支持率は、年初に30%程度にまで低下しました。支持率低下の一因は、言行不一致です。前述した基礎年金問題が象徴的です。また、増税しないと言いつつも、たばこ税を引き上げるなど、増税が行われています。国民は「言っていることとやっていることが違う」と不満を持ちました。

 また経済政策においては、朴大統領の言う「創造経済」が具体的に何を目指しているのかが、わかりづらい。目指す方向性はいいとしても、政策の実効性に確信がもてないのです。

 中長期を見据えた「経済革新三ヵ年計画」と短期を見据えた景気対策との整合性がとれていないことも、指摘されています。経済を革新するなら、競争力をなくした産業や企業の淘汰を進めていかざるを得ないですが、足もとの景気に配慮するとなかなか思い切った政策ができない。ある意味、バランス型の対策になってしまいます。

 他にも、人事の躓き、韓国船沈没事故後における対応の拙さなど、大統領の意思疎通の取り方に問題があるのではないか、という批判もあります。

――こうして聞くと、韓国経済の減速には構造的な問題が関わっており、それを解消しないと真の意味での経済革新を図ることは難しいように思います。今後韓国は、どんな改革を進めるべきなのか。大きな問題の1つは、国の経済が世界経済の動き、とりわけ中国の動きにあまりにも左右され過ぎるということだと思います。

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