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撤退するアメリカと「無秩序」の世紀
【第1回】 2015年4月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
ブレット・スティーブンズ [WSJ外交問題コラムニスト・論説欄副編集長],藤原朝子 [学習院女子大学]

アメリカ人はもう「世界の警察」を続ける気がない
中国が暴走したとき、アメリカは日本を守るのか?

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オバマが「われわれは世界の警察官であるべきではない」と語り、アメリカ人の半数が「よその国のことには口出しするべきではない」と考え始めている。『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』の著者でもあり、ピューリッツァー賞受賞・WSJコラムニストが予測する、世界が無秩序に陥るシナリオとは。

アメリカ国民は
もう世界の平和に関心がない

 アメリカ人が世界指向だった時代は終わり、世界に無関心な時代に急速に代わりつつある。

 ピュー・リサーチセンターが二〇一三年秋に行った世論調査によると、アメリカ人の五二%が、アメリカは「よその国のことには口出しするべきではない」と考えていた。一九六四年に初めて同様の調査をしたとき、この割合は二〇%、二〇〇二年は三〇%で、過半数を超えたのは二〇一三年が初めてだった。

 この傾向は支持政党の違いを問わず幅広く見られる。別のピューの調査によると、「国際問題に積極的に取り組むことがアメリカにとって最善である」と考える共和党保守派は、二〇〇四年は五八%いたのに、二〇一一年は三九%まで減った。また支持政党を問わず五八%が「外国の問題への関心を縮小」し、六五%が「外国での軍事的関与を縮小」することを支持した。

 ロシアのクリミア侵攻後にピューが行った調査では、五六%(共和党支持者に限ると五〇%)が、「クリミア問題に深入りしすぎない」ことが重要だと考えていた。「ロシアに厳しい姿勢」で臨むべきだと答えたのはたった二九%だった。

 では、外交政策に関して、アメリカ国民はオバマ政権にどんなメッセージを送ってきたのか。

 それは基本的に、「外交政策について、国民は多くを聞く気も、知る気もない」というものだ。これもホワイトハウスの態度とそっくりだ。「(シリアの)反政府派に武器を供与するか否かをめぐる議論が再燃したとき、オバマが高官級会議で強力な意見を口にすることはめったになかった」と、ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 オバマもアメリカ人も、なぜそんなに無関心を決め込んでいるのか。その理由は「イラク」と「不況」の二つに集約できる。

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ブレット・スティーブンズ [WSJ外交問題コラムニスト・論説欄副編集長]

 

ウォールストリート・ジャーナル紙外交問題コラムニストおよび論説欄副編集長。2013年にピューリッツァー賞(論説部門)を受賞。ニューヨークで生まれメキシコで育つ。シカゴ大学(学士号)とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(修士号)で学ぶ。エルサレム・ポスト紙編集主幹(2002~2004年)。家族と共にニューヨーク在住。

 

 

藤原朝子[学習院女子大学]

 

学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信などで翻訳を担当。訳書に『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』(ダイヤモンド社)、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(CCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか ―― 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(英治出版)など。

 


撤退するアメリカと「無秩序」の世紀

イスラム国、クリミア半島、アフガニスタン、尖閣諸島……
世界各地で頻発する危機の背景にはアメリカの驚くべき方針転換があります。
いま世界で何が起きているのでしょうか。そして、日本はどう対処すべきでしょうか。ピューリッツァー賞受賞のWSJコラムニストが、歴史とデータから世界の秩序の崩壊を丹念に分析していきます。
アメリカがもしも「世界の警察」の役割を放棄したとき、中東・ロシア・中国はいかなる行動に出るでしょうか。日本もまた世界情勢から無関係でないことを、イスラム国による後藤健二さん・湯川遥菜さん殺害で思い知った今、本連載で世界秩序の行く末を占います。

「撤退するアメリカと「無秩序」の世紀」

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