中国・上海株が急騰している。上海総合指数は4月22日に4300を超え、ここ1年足らずの間で2倍以上に伸びた。中国経済が減速している中、なぜ株価は上がっているのか。バブルの前兆ではないのか。上海株急騰を後押ししている意外な“真犯人”を明らかにする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)
中国の代表的な株価指数である上海総合指数が昨年秋以降、急ピッチで上昇している。下のグラフのように、昨年初の2000近傍から4月22日には4300を超えた。4月に入ってからも22日までで約13%伸びており、上海株の時価総額が日本株を抜いて世界2位になったとみられている。ちなみに3月末の時価総額は、上海株の4兆7831億ドルに対して、日本株は4兆8103億ドルだった(世界取引所連盟調べ)。
株価急伸の理由は三つある。一つ目の、最も大きな理由は、皮肉にも、中国経済の減速である。それが金融緩和期待を呼び、株価を押し上げてきたのだ。
ターニングポイントになったのが2014年11月。2年4カ月ぶりに銀行の貸出基準金利と預金基準金利を引き下げた。それでも景気の減速に歯止めがかからず、今年3月の全国人民代表大会(全人代)前に、追加利下げを実施した。これが、「景気が悪くなればまた利下げするはずだ」との観測を呼び、景気減速がむしろ株価上昇につながっている。
二つ目は、政府の経済政策だ。3月12日に1兆元の地方政府債務の借り換えを認める方針を出し、地方政府の財政不安を和らげる一方、李克強首相が全人代の後の会見で景気刺激策を示唆した。
三つ目は、中国が提唱するアジアインフラ投資銀行に、英国などの先進国も参加したこと。中国への信認が高まるとともに、中国のインフラ関連企業への恩恵が期待できることも株価を後押しした。