いまなぜ韓国で『嫌われる勇気』が<br />30万部の大ヒットになっているのか?取材に来た記者やインタビュアーの方は、ほとんどが女性だった。

古賀 訪韓時に取材に来られた記者やインタビュアーの方は、ほぼすべて女性でした。どなたもすごく本を読み込んで、ちゃんと内容を理解した上でさまざまな質問をして下さったのが印象的でした。聡明でしっかり仕事をされている姿は素晴らしかった。そうした女性記者の方から「韓国は儒教社会だから」という言葉が何度も出てきたんです。儒教社会とか父権的な社会だという意識があるからこそ、自分はどう生きていけばよいのかを女性のほうが真剣に考えているのかもしれないなと思いました。
 男性は、父権社会であれば一定の立場が保証されているので、シンプルに目の前の仕事さえ頑張ればいい状況だけれど、女性のほうは「私がこの社会で生きていくにはどうすればよいのだろう」と男性よりも真剣に、もっと身近な問題として考えているのかもしれません。

岸見 そうですね。日本もそのあたりは似た部分があります。男性は既得権益を持っておりある意味で安心していられる。けれど女性はそうではない、と。それが韓国のほうがより明確であるということでしょうか。

(後編に続く)