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医療・介護 大転換

介護施設の「お任せ型」「住宅型」「サ高住」、
わかりにくい差別化を整理してみると…

浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]
【第29回】 2015年4月30日
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Photo:milatas-Fotolia.com

 有料老人ホームと言えば、入居する際に高額な一時金を支払わねばならない高齢者施設と見られている。ところが、最近は状況が一変しつつある。一時金が不要なホームが増えてきた。そのサービスも、介護サービスや食事提供などすべての日常生活を職員がみてくれているが、実はサービスごとに支払いが必要なところが多い。

 従来の「お任せ型」とは違って、入居者がサービスやその提供事業者を選べる。それが建前となっている有料老人ホームが増えて来たのである。入居者にとっては、従来型の「お任せ型」と同じ事業会社が同じような建物で運営しているため判別が難しい。だが、パンフレットや利用料金表をよくよく読むと、確かにそのようなことが書かれている。一体どうなっているのか。

 一時金とは、家賃の前払いなので制度上は前払い金と呼ばれる。厚労省の最近の調査によると、全国9750の有料老人ホームのうちで前払い金(一時金)を徴収しているのは2160件。全体の22.2%に過ぎない。2006年4月以降に開設した最近の有料老人ホームに絞ってみると、前払い金が必要なのは15.9%とさらに下がる。7930件の中で1260件にとどまっているからだ。

 2006年3月以前に開設した有料老人ホームでは、1820件のうちで900件が前払い金を受け取っている。49.5%と高率に上る。

 さらに遡り、介護保険施行前の2000年3月以前に開設した有料老人ホームでは、90%以上が前払い金を徴収していたと思われる。その当時の印象が今でも強く残っている。そのため、高額な前払い金を支払うことができる富裕層が入居するところと言うイメージに捕らわれがちだ。ところが実態は違う。

 この10年ほどの間に建設、開設された有料老人ホームの大半、85%は前払い金制度がないのである。なぜ、変わったのか。

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浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]

あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。

 


医療・介護 大転換

2014年4月に診療報酬が改定され、ついで6月には「地域医療・介護総合確保推進法」が成立した。これによって、我が国の「医療」「介護」大転換に向けて、第一歩が踏み出された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。

「医療・介護 大転換」

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