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安東泰志の真・金融立国論

AIIBは利益相反の塊!参加見送りは当然の判断だ

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第57回】 2015年5月8日
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中国を筆頭とするアジアのインフラ需要は膨大とされるが……

 中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への出資の是非については、ここ1ヵ月ほど、内外で盛んに議論されているが、結論から言えば、この段階で参加表明する必要など全くなく、参加を見送っている政府の方針は正しい。今回は、筆者がそう考える理由について、これまでマスコミで余り取り上げられてこなかった利益相反の観点を中心に説明したい。

中国はADBからの最大の借り入れ国だ
日本取り込みの背後にも利益相反が存在

 中国は、国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)において新興国が経済力の拡大に応じた発言権が確保されていないことを、AIIB設立の理由の一つに挙げている。しかし、ADBの融資のうち、実に4分の1以上は中国向けであり、中国とインドだけで半分を占めている。自分たちが最大の借り入れ国であるADBにおいて中国やインドなどの新興国が発言権を強めるなど、もとより利益相反も甚だしい要求であることは言うまでもない。

 同じように、中国が圧倒的な議決権を保有すると見込まれているAIIBが中国国内のインフラ事業に融資する場合や、中国にとって政治的に重要な国のインフラ事業に融資をする場合にも、深刻な利益相反が発生する。

 そもそも中国は、先進国の高い信用力に支えられたADBから低利で資金調達をしておきながら、AIIBでは自国を含むアジア諸国への融資を先導しようとしているわけで、完全ないいとこ取りだ。「利益相反、ここに極まれり」の感がある。

 マスコミでは、「AIIBに出資するかどうか」ばかりが騒がれているが、そもそも、こうした国際機関の融資は、出資金で賄われるわけではない。その融資のほとんどは、一定以上の高い格付けを持った当該国際機関自身が債券を発行して調達されている。

 たとえば、ADBは最上級のAAA格を保有しており、低利調達が可能であるからこそ、融資先にも低利の資金を提供できるのだ。なぜADBが高格付けを得ているかと言えば、その運営に透明性があり、長年の実績(トラックレコード)もあることで、健全な銀行経営ができる機関だと世界の投資家から広く認知されているからだ。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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