ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
投資は「きれいごと」で成功する
【第1回】 2015年5月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
新井和宏 [鎌倉投信 株式会社 取締役 資産運用部長]

『プロフェッショナル 仕事の流儀』出演!
鎌倉投信・新井和宏が本当に伝えたかったこと

どこまでも謙虚に、
誰よりも強く想い、
日々の小さな努力を積み重ねる――
5月11日に放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、「金融のプロフェッショナルとは?」と聞かれてこう語った新井和宏氏。いい会社に投資して利益をあげる異色の金融ベンチャー「鎌倉投信」でファンドマネージャーを務める新井氏に、この言葉の真意を改めて語っていただいた。

どこまでも謙虚に――

新井和宏(あらい・かずひろ)
鎌倉投信 株式会社 取締役 資産運用部長
1968年生まれ。東京理科大学工学部卒。1992年、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入社。2000年にはバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)に入社。多岐にわたる運用業務に従事し、ファンドマネージャーとして数兆円を動かした。
2008年11月、志を同じくする仲間4人と、鎌倉投信株式会社を創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い 2101」の運用責任者として活躍している。経済的な指標だけではなく社会性も重視する、投資先企業をすべて公開する等、従来の常識をくつがえす投資哲学で運用されている商品ながら、個人投資家(受益者)8900人以上、純資産総額130億円超(どちらも2015年2月時点)となっている。2013年には格付投資情報センター(R&I)でも日本一を意味する最優秀ファンド賞(投資信託 国内株式部門)を獲得。

 「なんで金融の人ってあんなに偉そうなの?」

 これは、企業の方とお話していて、実際によく言われたことです。

 リーマン・ショックの激震冷めやらぬなか、当のリーマンブラザーズの社長が「私も被害者だ」と言ってのける――。そんな業界ではこう思われても致し方ないでしょう。

 まさにそのリーマン・ショックの最中の2008年11月、私たちは「鎌倉投信」という変わった金融ベンチャーを創業しました。そのとき、創業者4人の頭の中にあったのは、「金融が真摯に反省し、変わらないといけない」ということでした。

それでは、金融が変わるために必要なのは何なのか。それこそが、「謙虚さ」でした

 というのも、私が「いい会社」だと考える会社の経営者は、謙虚な方が多いからです。

 「運がいい」「いい社員に助けられている」「自分は何もしていない、社員ががんばっているだけだ」――挙げはじめるときりがありません。みなさん、真摯で、謙虚なのです。

 そうした「いい会社」を支える金融の人間がふんぞり返っていては、事業を深く理解することも、人財の質を評価することも、ましてや金融で最も大事な仕事の1つである信用を創造することすらも、できるはずがありません。

誰よりも強く想い――

 もちろん、「謙虚さ」だけでは、持続可能なビジネスも、持続可能な金融も生まれません。それでは、次に何が必要なのでしょうか。

 スキルはどうか。必要だが十分条件ではない、と私は考えます。スキルは所詮、熱意と時間が解決してくれるものです。私自身、運用するための特殊能力やスキルがあるわけではありません。

 このこともまた、「いい会社」が教えてくれます。厳しい競争の中で生き残っている企業の経営者に共通しているのは、特殊なスキルではなく、「あきらめの悪さ」です。なぜあきらめきれないのか、その原因を突き詰めていくと、「誰よりも強く想う」気持ちに辿りつきます。つまり、「誰よりも(その事業について)強く想っている」のです。

 実はこのことは、金融だけではなく、どの業界にいるプロフェッショナルにとっても大事なこと。なぜならその仕事や事業(理念)は唯一無二であるはずだからです

 ファンドマネージャーとしては、特にベンチャー企業に投資する際はこれを一番大切に考えています。番組にも登場したトビムシの竹本社長の「林業」に対する想いは本当に深く、初対面のとき、お茶1杯で5時間、お話したほどです。そして金融ベンチャーに身を置く私も、自分が運用する商品「結い2101」に全財産を投じています。

日々の小さな努力を積み重ねる

 一般にファンドマネージャーは、予測を立てて運用をします。ファンドマネージャーの能力は、予測能力の高さだといっても過言ではありません。

 ですが私は、予測をしません。番組でもいったとおり、予測は当たらない、と思っているからです

 金融のプロならば、どんな相場になっても投資しつづける必要があります。投資期間を限定し、数銘柄を予測するのならば、金融工学を駆使すれば私にも当てる自信はあります。しかし「どんな相場になっても」となると、そんなことができる人も、それを可能にする完全な数式も、この世には存在しません。

 リーマン・ショックを経て、私はできないことを「できない」と言えることがプロなのでは、と思うようになりました。その結果辿りついたのが、予測をやめ、プロ野球のイチロー選手のように努力することで結果が出せることを、毎日くり返す、ということでした。

 金融のプロフェッショナルとして、お客さまの期待に応えて「投資の果実」をもたらすためには、地味で小さな日々の努力の積み重ねしかないのです。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


 

新井和宏 [鎌倉投信 株式会社 取締役 資産運用部長]

 

1968年生まれ。東京理科大学工学部卒。
1992年、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入社。2000年には、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)に入社。企業年金・公的年金などを中心に、株式、為替、資産配分等、多岐にわたる運用業務に従事し、ファンドマネージャーとして数兆円を動かした実績がある。だが2007~2008年、大病を患ったこと、そしてリーマン・ショックをきっかけに、それまで15年以上信奉してきた金融工学、数式に則った投資、金融市場のあり方に疑問を持つようになる。
2008年11月、志を同じくする仲間4人で、鎌倉投信株式会社を創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い 2101」の運用責任者として活躍している。経済的な指標だけではなく社会性も重視する、投資先企業をすべて公開するなど、従来の常識をくつがえす投資哲学のもとで運用されている商品でありながら、個人投資家(受益者)8,900人以上、純資産総額130億円超(どちらも2015年2月時点)となっている。また、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」でも上位の常連となり、また、2013年には格付投資情報センター(R&I)でも最優秀ファンド賞(投資信託 国内株式部門)を獲得するなど、人気、実績を兼ね備える投資信託へと成長している。
他に、横浜国立大学経営学部非常勤講師、特定非営利活動法人「いい会社をふやしましょう」理事、経済産業省「おもてなし経営企業選」選考委員(平成24、25年度)も務めている。

 


投資は「きれいごと」で成功する

「鎌倉投信」という運用会社を、ご存じでしょうか。
その社名どおり、鎌倉に社を構え、投資信託を運用、販売する、創業約7年のベンチャー企業です。
販売している商品は、「結い2101」という投資信託1つだけ。

しかし、いま、この小さな金融ベンチャーは、
2つの理由で日本中から大きな注目を集めています。

1つは、「結い2101」の投資先企業の特徴です。
鎌倉投信は、利益をあげながら社会に貢献している「いい会社」にしか投資しないのです。

そしてもう1つが、「実績」です。
2014年、格付投資情報センター(R&I)の選定する『R&I ファンド大賞 2013』において、
1位を意味する最優秀ファンド賞(投資信託 国内株式部門)を獲得したのです。

この鎌倉投信の「運用」を支えるファンドマネージャー、新井和宏氏が、
自らの投資哲学と手法から、
本当に「きれいごと」で投資がうまくいくのか、を解き明かします。

「投資は「きれいごと」で成功する」

⇒バックナンバー一覧